特別支配株主
特別支配株主とは、株式会社において、その株主が全株式の3分の2以上を保有し、会社の経営方針や重要な決定に対して強い影響力を持つ株主のことを指す。特に、会社法に基づき、特定の権利を行使する際に特別な権限を持つとされている。この株主は、少数株主に対して株式を強制的に買い取る「株式等売渡請求権」を行使できることが特徴であり、会社の支配権を事実上掌握している。
特別支配株主の権限
特別支配株主は、株式会社の経営において大きな権限を持つ。特に重要な意思決定である株主総会の特別決議では、全株式の3分の2以上の賛成が必要とされるが、この株式保有比率を満たす特別支配株主は、単独で特別決議を成立させることができる。また、「株式等売渡請求権」によって、少数株主に対して株式を売却させることができるため、企業の完全子会社化や再編などのスムーズな実行が可能となる。
株式等売渡請求権
特別支配株主が行使できる「株式等売渡請求権」は、少数株主に対して株式の売却を強制できる権利である。この制度は、特別支配株主が会社の支配権を確立するために、少数株主の株式を取得して完全子会社化を進めたり、経営を一本化する際に用いられる。売却価格は、公正な基準に基づいて算定され、少数株主はその価格で株式を売却することになる。
特別支配株主の義務
特別支配株主には、大きな権限が与えられる一方で、少数株主に対する保護のための義務も負う。株式等売渡請求権を行使する際には、売却価格が公正であることが求められるほか、少数株主に対して適切な手続きや通知を行わなければならない。また、少数株主の権利侵害が発生しないよう、公平な手続きが確保される必要がある。
特別支配株主による企業再編
特別支配株主は、株式等売渡請求権を活用することで、企業再編や完全子会社化を効率的に進めることができる。例えば、親会社が子会社の少数株主から株式を強制的に買い取ることで、100%子会社化し、経営資源の集中やコスト削減を図ることが可能となる。このような再編は、企業の競争力を強化し、経営効率を高めるために有効な手段である。
少数株主への影響
特別支配株主が株式等売渡請求権を行使する際、少数株主は保有株式を売却することが義務づけられるため、株式保有を継続することができなくなる。このため、少数株主にとっては支配株主の動向に大きな影響を受けることになる。ただし、売却価格は公正に算定されるため、少数株主の権利は一定の範囲で保護される。