特別マル優|障害者や高齢者が金融資産に対する利子や配当を非課税

特別マル優

特別マル優(特別障害者等貯蓄非課税制度)とは、日本の税制上、一定の条件を満たす障害者や高齢者が、一定額の金融資産に対して利子所得や配当所得を非課税にすることができる制度である。正式名称は「障害者等非課税貯蓄制度」といい、マル優制度の一種であるが、特に障害者や高齢者などの特定の条件を持つ人に適用される。貯蓄額に対する利子や配当の課税を免除することによって、これらの人々の生活を支援することを目的としている。特別マル優は、かつて広く利用されていたが、2000年代に入り段階的に制度の廃止が進んだ。

特別マル優の対象者

特別マル優の対象者は、以下のいずれかの条件を満たす者である。

  • 障害者:視覚や聴覚に障害がある者、身体障害者手帳を所持している者など。
  • 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳を所持している者。
  • 知的障害者:療育手帳を所持している者。
  • 戦傷病者:戦傷病者手帳を所持している者。
  • 65歳以上の者:一定の所得要件を満たしている高齢者。

非課税となる所得の範囲

特別マル優が適用される所得の範囲は、主に金融商品の利子所得や株式配当金である。銀行預金の利子や公社債、投資信託の配当などが対象となる。これらの所得に対して、一定額までは非課税となる。この上限額は、基本的には年間350万円の元本に対する利子までであり、それを超えた部分には通常の課税が適用される。

  • 預貯金(普通預金、定期預金、貯蓄預金など)
  • 国債、地方債
  • 社債、投資信託
  • 金融機関が取り扱う貯蓄型商品

これらの金融商品に対して得られる利子や配当が、一定の限度額まで非課税となる。

非課税限度額

特別マル優の非課税限度額は、1人当たり元本350万円までである。この範囲内で預け入れた金融資産に対して得られる利子や配当は非課税となる。また、この非課税枠は、一般のマル優(貯蓄非課税制度)の非課税限度額とは別に設定されているため、両方を利用することが可能である。

特別マル優の利用方法

特別マル優を利用するためには、対象者が金融機関で「特別非課税貯蓄申告書」を提出する必要がある。申告書には、対象者であることを証明するための書類(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳など)の提示が求められる。金融機関で申告が受理されると、その金融機関での貯蓄について非課税措置が適用される。

特別マル優のメリット

特別マル優の最大のメリットは、対象者が利子や配当所得に対して非課税の恩恵を受けられる点である。これにより、障害者や高齢者が生活資金としての貯蓄を増やしやすくなり、所得が少ない人でも資産運用を行いやすくなる。また、一般の特別マル優とは別枠での非課税措置が受けられるため、より多くの資金を非課税で運用することができる。

制限事項と注意点

特別マル優には、いくつかの制限事項や注意点が存在する。まず、利用できるのは日本国内の金融機関で提供される商品に限られるため、海外の金融商品は対象外である。また、非課税枠を超えた利子所得に対しては、通常通りの課税が適用されるため、全額が非課税になるわけではない。さらに、特別マル優を適用する場合は、確定申告の際に適切な手続きを行う必要がある。

制度の終了と代替措置

特別マル優は、かつて広く利用されていたが、2000年代に入り段階的に制度の廃止が進んだ。現在では、特別マル優の代替措置として、NISA(少額投資非課税制度)が提供されている。NISAは、特に株式や投資信託に対する非課税措置を提供する制度であり、より幅広い層が利用できることが特徴である。これにより、特別マル優の機能はNISAに引き継がれているといえる。

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