検認
検認(けんにん、Probate)は、遺言書や相続に関する手続きを進める際に、家庭裁判所が遺言書の存在やその内容を確認し、適法な手続きを経て相続が行われることを確認するための法的手続きである。検認は遺言書の有効性を確定するものではなく、遺言書の内容を確認し、遺言書に記載された相続手続きを適切に進めるための一過程である。
検認の目的
検認の主な目的は、遺言書の存在やその内容を相続人や利害関係者に通知し、遺言書が改ざんされていないことを確認することである。遺言書が発見された場合、遺言執行者や相続人は遺言書を家庭裁判所に提出し、検認を受ける義務がある。これにより、遺言書が正式な手続きに基づいて執行されることが保証される。
検認の対象
検認の対象となるのは、自筆証書遺言や秘密証書遺言である。公正証書遺言は公証人が作成し、公証役場に保管されているため、検認の対象とはならない。自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所での検認を経ることで、その内容が正確に執行されることが保証される。
検認の手続き
検認の手続きは以下のように進められる。
遺言書の提出: 遺言書を発見した相続人や遺言執行者は、速やかに家庭裁判所に遺言書を提出する必要がある。遺言書を開封せずに提出することが重要であり、勝手に開封した場合は罰則が適用されることがある。
検認の申立て: 遺言書を提出後、家庭裁判所に検認の申立てを行う。申立ては、相続人や利害関係者が行うことができる。
検認期日: 家庭裁判所が検認の期日を指定し、相続人や利害関係者に通知する。検認期日において、遺言書の存在や内容が確認される。
検認の実施: 検認期日に、家庭裁判所の立会いのもとで遺言書が開封され、内容が確認される。その結果は「検認調書」として記録される。
検認後の手続き
検認が完了すると、遺言書は正式に相続手続きに使用できるようになる。ただし、検認は遺言書の有効性を保証するものではなく、遺言書の内容に法的な問題がある場合は、その後、無効とされる可能性もある。また、遺言執行者は検認後、遺言書に基づいて相続手続きを進める義務がある。
検認の必要性
検認は、遺言書が存在する場合に法的に必要な手続きであり、これを経ずに遺言書を執行することは認められない。特に、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言書の内容が相続人や利害関係者に適切に伝えられることを保証するために、検認が重要である。検認を経ることで、遺言書の信頼性が確保され、相続手続きが円滑に進むことが期待される。
検認と相続の関係
検認は、相続手続きの一環として行われるが、相続人間での遺産分割協議や、遺産分割協議書の作成といった次のステップも重要である。検認を経た遺言書に基づいて相続手続きを進める際には、相続税の申告や、不動産登記の変更など、法的手続きを適切に行う必要がある。