弱気
「弱気(よわき)」とは、金融市場において、相場の先行きや価格の動向について悲観的な見方を示す状態や姿勢を指す。市場参加者が株価や商品価格の下落を予想し、売り圧力が強まる傾向にある際に「弱気相場」とも呼ばれる。弱気な市場では、投資家はリスクを避けようとするため、買いよりも売りが優勢になり、価格が下落することが一般的である。
弱気の特徴
弱気市場や弱気な投資家の特徴は、次の通りである。
- **価格の下落予想**:投資家が今後の市場で価格が下がると予想することで、積極的な買いが行われず、売り圧力が高まる。
- **リスク回避の姿勢**:弱気市場では、リスクを回避しようとする投資家が増え、現金化や防御的なポートフォリオの構築が優先される。
- **市場の不透明感**:政治や経済の不安定な状況、企業業績の悪化、金融政策の不確実性などが原因となり、市場参加者が弱気になることが多い。
弱気相場の原因
弱気相場が発生する原因には、次のような要因が挙げられる。
- **経済の悪化**:GDPの成長鈍化や失業率の上昇、消費者信頼感の低下など、経済指標が悪化すると、投資家は市場に対して弱気になる。
- **企業業績の低迷**:多くの企業が業績の悪化を発表することで、投資家は株価の下落を懸念し、弱気になる傾向がある。
- **金融政策の変更**:中央銀行の金利引き上げや金融引き締め政策が発表されると、資金調達コストが上昇し、経済成長が減速する懸念から市場は弱気になることがある。
- **地政学的リスク**:戦争や政治的不安定、自然災害など、世界的なリスク要因が発生した場合、投資家は安全資産へ移行し、リスク資産の売却が進む。
弱気相場での投資戦略
弱気相場では、投資家は以下のような戦略を取ることが多い。
- **防御的銘柄への投資**:生活必需品や医薬品などの不況時にも需要が落ちにくい「ディフェンシブ銘柄」への投資が好まれる。
- **現金保有の増加**:リスクを避けるために株式などのリスク資産を売却し、現金や流動性の高い資産を多く保有する傾向が強まる。
- **逆張り戦略**:一部の投資家は、相場が過度に下落したと判断した場合、割安になった株式を買い増しする「逆張り」戦略を採用することもある。
- **ショートポジション**:弱気相場が続くと予想される場合、株式の空売りやプットオプションを利用して利益を狙う戦略も取られる。
弱気相場と強気相場の違い
弱気相場と対照的なのが「強気相場」であり、強気相場では投資家が楽観的な見方を持ち、価格の上昇を期待して積極的に買いが行われる。弱気相場は、投資家がリスクを回避しようとするため、売りが優勢となり価格が下落するのに対し、強気相場では買いが優勢で価格が上昇する。
弱気相場の実例
例えば、リーマン・ショックが発生した2008年の世界的な金融危機は、典型的な弱気相場の例である。この時期、株式市場は急激に下落し、投資家は安全資産である金や債券へ資金を移した。市場全体の不透明感が強まり、多くの投資家がリスク資産から撤退した。