廃除|法的手続きで相続人の権利を排除する制度

廃除

廃除とは、相続において特定の相続人を法定相続人から排除する法的手続きのことを指す。相続人を廃除するためには、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所がそれを認めた場合にのみ適用される。廃除が認められると、対象となった相続人は遺留分を含む一切の相続権を失う。廃除は、相続人が被相続人に対して重大な非行を行った場合など、特定の理由が必要とされる。

廃除が認められる条件

廃除が認められるためには、法律で定められた特定の理由が必要である。例えば、被相続人に対する虐待や重大な侮辱、著しい非行などが挙げられる。これらの行為が相続人により行われた場合、被相続人は家庭裁判所に対して廃除の申し立てを行うことができる。なお、廃除が成立するためには、家庭裁判所の審判が必要であり、単に被相続人の意思だけでは廃除することはできない。

廃除の手続き

廃除の手続きは、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てを行う形で進められる。被相続人がすでに死亡している場合でも、遺言によって廃除の意思が示されていれば、相続開始後に遺言執行者が家庭裁判所に申し立てを行うことができる。裁判所が相続人の行為が法律で定められた条件に該当すると判断した場合、廃除が認められる。

廃除の効果

廃除が認められると、対象となった相続人は遺留分を含む一切の相続権を失う。これは、通常の相続における権利だけでなく、相続人としての立場そのものが失われることを意味する。ただし、廃除が認められた相続人の子供など直系卑属には、代襲相続として相続権が認められる場合があるため、完全に家系から排除されるわけではない。

廃除と相続放棄との違い

廃除と相続放棄は、どちらも相続権を失う結果となるが、異なる手続きである。廃除は被相続人または遺言執行者によって行われ、家庭裁判所の認定が必要である一方、相続放棄は相続人自身が自発的に相続権を放棄するものであり、家庭裁判所に申請することで成立する。廃除は法的な強制力が伴う点が相違点である。

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