年末調整|給与所得者の所得税を年末に再計算し調整する手続き

年末調整

年末調整とは、給与所得者(サラリーマンや会社員)に対して、その年の給与から天引きされた所得税額が正しいかを年末に再計算し、過不足を調整する手続きのことを指す。日本では、所得税は概算で毎月給与から源泉徴収されるため、1年間の実際の所得額に基づいて最終的に正確な税額を算出し、過不足分を還付または追納する。年末調整は、個人の確定申告に代わる手続きとして行われることが多く、多くの給与所得者にとって重要なイベントである。

年末調整の目的

年末調整の目的は、給与所得者が1年間に支払った所得税が、実際の収入に対して適正かどうかを確認し、税額に過不足がある場合にその差額を調整することである。毎月の給与から控除される源泉徴収額は概算で計算されるため、年末にその年の総所得額や各種控除を反映して、最終的な税額が決定される。年末調整を通じて、払い過ぎた税金が還付されたり、不足分が追納されたりする。

年末調整の対象者

年末調整は、主に給与所得者を対象として行われる。具体的には、会社や事業所に勤務しているサラリーマンやパートタイム労働者、アルバイトが対象となる。個人事業主やフリーランスの人は、年末調整の対象外であり、自ら確定申告を行う必要がある。また、複数の会社から給与を受け取っている場合、年末調整は主たる勤務先のみで行われ、その他の収入については確定申告を通じて調整する必要がある。

年末調整で申告できる控除項目

年末調整では、いくつかの控除項目が適用され、所得税の減額が可能である。主な控除項目には以下のようなものがある:

  • 扶養控除:扶養家族がいる場合に適用され、所得税の負担が軽減される。
  • 配偶者控除:収入が一定額以下の配偶者がいる場合、所得税が軽減される。
  • 生命保険料控除:生命保険や個人年金に加入している場合に、支払った保険料が控除される。
  • 地震保険料控除:地震保険の保険料を支払っている場合、一定額が控除される。
  • 医療費控除(一部):医療費が高額な場合、確定申告で申告するが、一部の医療保険控除は年末調整でも適用可能。
  • 小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済や確定拠出年金(iDeCo)に加入している場合、その掛金が控除される。

年末調整の手続きの流れ

年末調整は、通常、年末に近い11月から12月にかけて行われる。従業員は、勤務先から渡される「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」などの書類に必要事項を記入し、各種控除に関する証明書(保険料控除証明書など)を添付して提出する。これらの書類に基づいて、会社が最終的な税額を計算し、12月の給与支給時に過不足額が調整される。払い過ぎた税金がある場合は還付され、不足があれば12月の給与から徴収される。

年末調整で不足する場合

年末調整で追加納税が発生する場合、主に以下の理由が考えられる:

  • 1年間で収入が大幅に増加した場合:昇給やボーナスなどで年間の総所得が当初の見込みよりも増加した場合、源泉徴収額が不足することがある。
  • 控除対象者の変更:扶養家族や配偶者控除の対象者が変更になった場合も、控除額が減少し、追加納税が必要となることがある。
  • 複数の収入源:副業や複数の会社から給与を受け取っている場合、年末調整では対応しきれず、追加の税金が発生することがある。

年末調整後の確定申告

年末調整を行った後でも、特定の控除や収入については確定申告が必要になることがある。たとえば、高額な医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除を初めて申告する場合など、年末調整だけでは控除しきれない場合には、翌年の2月から3月に行われる確定申告で申告することが求められる。

まとめ

年末調整は、給与所得者にとって税金の過不足を調整する重要な手続きであり、控除項目を適切に申告することで税負担を軽減することができる。

タイトルとURLをコピーしました