岡田山1号墳
岡田山1号墳とは、590年頃、島根中海に注ぐ意宇川の沖積地を見下ろす台地に、全長約24mの小さな前方後方墳である。横穴式石室には亡き主人の装身具や馬具に加え、1本の大刀が納められた。百済系工人によって銀象嵌の亀甲文を施された豪華な把頭(つかがしら)の大刀で、刀身には「額田部臣……」と彼の名が銀象嵌で刻まれている。額田部臣は、祖先が5世紀に大主の私有民である名代を管理する役目をうけたことにちなむ名誉ある姓である。額田部臣は若いころ一族を代表して大和に赴き、大王に仕えた。大王はそれを記念し、大刀を贈ったのである。その後、この地方は出雲の中心地として発展し、奈良時代には国庁や郡情がおかれ、彼の同族の出雲臣が要職を独占する。