展伸用アルミニウム合金
展伸材とは、板材、条、棒、線、管、形材、鍛造品や箔の形状のものを示し、展伸用アルミニウムとは、このような形状のアルミニウム合金である。一般に使われるアルミニウム合金のほとんどは、展伸用アルミニウムである。展伸用アルミニウムは、AA規格(アルミニウム)の記号に準じ、4桁の数字で表されている。非熱処理型合金でつくられたものは、1000番台、3000番台、4000番台、5000番台、熱処理型合金でつくられたものは、2000番台、6000番台、7000番で台ある。また展伸用アルミニウムとは別に鋳造で作られたものとして、鋳造用アルミニウム合金がある。
純アルミニウム(1000番台)
純アルミニウムとは、99%以上のAlを含むアルミニウムである。強度は低いが、加工性や耐食性、表面処理性に優れており、化学工業用タンク類、台所用品、反射板などに用いられる。JISでは、A1080やA1070などが代表的である。記号の下2桁は、例えばA1080であれば、99.80%の純度を表している。
AI-Cu系(2000番台)
AI-Cu系とは、主要な添加元素はCuであり、強度が高く、機械的性質や切削性に優れる。しかし、Cuを含むため、耐食性は悪い。ジュラルミン(A2017)、超ジュラルミン(A2024)が代表的である。超ジュラルミンの硬度は、鋼に匹敵するほど高く、航空機の部材として用いられる。
AI-Mn系(3000番台)
AI-Mn系(3000番台)とは、主要な添加元素はMnであり、純アルミニウムの加工性、耐食性を低下させることなく、強度を少し増加させた合金である。アルマンともよばれ、A3003やA3004が代表的である。アルミ缶などの容器や建築用材、車両用材として用いられる。
Al-Si系(4000番台)
Al-Si系(4000番台)とは、ケイ素(Si)を主要な添加元素とするアルミニウムである。熱膨張率が小さく、耐熱性や耐摩耗性に優れる。A4032やA4043がその代表であり、エンジンのピストンなどに用いられる。
Al-Mg系(5000番台)
Al-Mg系(5000番台)は、Mgを主要元素とし、耐食性を劣化させずに、強度を確保できる素材である。加工性にも優れており、一般的な構造用材料として、車両、船舶、建築用材、通信機器部品、機械部品など、幅広く用いられる。A5005やA5052がその代表である。
Al-Mg-Si系(6000番台)
Al-Mg-Si系(6000番台)は、MgとSiとし、強度と耐食性に優れている。代表的な合金であるA6063は、優れた押出し性を有しているため、建築用サッシなどに用いられる。
Al-Zn-Mg系(7000番台)
Al-Zn-Mg系(7000番台)は、ZnとMgを主要元素としているアルミニウム合金である。アルミニウム合金の中で最も強度のあるAl-Zn-Mg-Cu系のA7075は超々ジュラルミンとよばれる。これは、日本で開発された合金であり、かっては零戦に、現在でも航空機の構造材や鉄道車両、スポーツ用具などに用いられる。