寄与分|特別な相続人が他の相続人より多く財産を受け取る

寄与分

寄与分(きよぶん)とは、相続において、被相続人(亡くなった人)の財産形成や維持、増加に特に貢献した相続人が、他の相続人よりも多く財産を受け取る権利を認められる制度である。寄与分は、日本の民法に基づく相続制度の一部であり、被相続人に対する特別な貢献があった場合に、公平な相続分配を図るために適用される。

寄与分の意義

寄与分は、被相続人の財産が増加したり維持されたりするのに特別な貢献をした相続人に対して、その貢献に見合った相続分を認めるための制度である。これにより、通常の相続分だけでなく、寄与した分の財産を別途受け取ることができる。寄与分は、相続人間の公平性を保つために設けられたもので、特に被相続人と密接に関わり合い、支援を行った相続人に対して配慮される。

寄与分の対象となる行為

寄与分が認められるためには、相続人が被相続人に対して特別な貢献をしたと認められる行為が必要である。具体的には、以下のような行為が寄与分の対象となる。

  • **事業の支援**: 被相続人の事業の発展や維持に貢献し、その結果として財産が増加した場合。
  • **介護や看護**: 被相続人が高齢や病気で介護や看護を必要とした場合、長期間にわたって献身的に支援した場合。
  • **財産の管理**: 被相続人の財産を適切に管理し、その価値を保つために貢献した場合。
  • **金銭の援助**: 被相続人に対して大規模な金銭援助を行い、その結果、財産が維持または増加した場合。

寄与分の計算方法

寄与分は、相続財産全体のうち、特別に貢献した分を算定し、その額を相続分に加算する形で計算される。ただし、具体的な寄与分の金額や割合については、相続人間で協議する必要があり、合意が得られない場合には、家庭裁判所において調停や審判によって決定されることがある。

寄与分の申請と認定

寄与分を主張する相続人は、他の相続人に対してその寄与分を認めてもらうための協議を行う必要がある。具体的な貢献内容や貢献期間、被相続人の財産に対する影響などを説明し、適正な寄与分を主張することが求められる。もし、相続人間での合意が難しい場合、家庭裁判所に調停を申し立て、そこで寄与分の認定を求めることができる。

寄与分の影響

寄与分が認められることで、相続人間の相続分配が大きく変わる可能性がある。寄与分が認定された相続人は、他の相続人に比べて多くの財産を受け取ることができるため、相続人間の公平性が保たれる。一方で、寄与分の主張が原因で相続人間に争いが生じることもあるため、慎重な対応が必要である。

寄与分と特別受益の違い

寄与分と類似する概念に「特別受益」がある。特別受益は、被相続人から生前に財産を受け取った相続人が、その財産を相続分に含めて考慮されるものである。一方、寄与分は、相続人が被相続人に対して行った特別な貢献に基づいて相続分が加算されるものであり、この点で特別受益とは異なる。

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