実証主義 positivism
実証主義とは、人間社会に関する仮説をもとに自然科学的手法を用いて観察・実験を行い、仮説の真偽を証明しようとする思想に基づき、すべての知識の対象を観察できる経験的な事実に限り、経験的の背後になんらの超経験的な実在を認めない考え方である。19世紀の近代自然科学の飛躍的な発達とともに、科学的な方法を哲学に取り入れた特色を持つ。フランスの哲学者コントによって確立され、社会学が創設された。
目次
実証的(posi¬tive) とは
コントによれば実証的(posi¬tive) とは、想像や抽象に対して「事実的で有益なこと」、現実的な事実として観察され、実際に効力を持ち、有用であることをさす。
実証主義の歴史的背景
17世紀の科学革命、19世紀の産業革命、フランス革命といった市民革命の経緯のなかで形而上学から離れ、科学的に実証可能なものだけで知の体系を作ろうとした動きがみられた。コントやサン=シモンがその代表的な人物である。
『実証主義哲学講義』コント
『実証哲学講義』において、コントは、第一原因のような形而上学に一切依拠することない、経験的に獲得される事物の法則によつて現象を説明しようとする。 しかし、経験はいくら積み重ねても確実な知に到達できないといい、古くからの経験主義批判を回避することは難しい。そこで、この法則から演繹される正確な知識もまた実証主義はあわせもつと彼は主張する。