天
天は、古代中国の宗教・思想で、天が自然や人の運命を支配するという信仰のことである。天は人の上にある超越的な存在である。すべての人には天から天命とよばれる命令をうけており、天によって選ばれた君主は天子として国を統治する。
天帝
天帝(上帝)とは、天をつかさどる超越的な人格神である。宇宙・人間界の支配者であり、周代には抽象的な天の思想の中心となり、戦国期には人間的性格が否定され、宇宙の最高原理とされた。また、天帝の下す命令を天命といい、人間の努力をこえた運命的な力を意味した。
天子
天子とは、天の命を受けて民衆の統治にあたる王朝国家の最高支配者である。天は徳をそなえた者に天下を統治する命を与え、その天の命を受けた者が天子となり、天の意志の代行者として人民を統治する。なお、その呼称は、西周以後に現れた。
易姓革命
易姓革命は、王朝の姓が易わり、天命が革まるという意味で、中国の新たなる王朝の支配や交替は、天の命令(天命)によるものとする思想である。君主が有徳者でなくなった場合は、天命が改まって新しい有徳者が君主になる。
天人相関説
天人相関説は、人の本性は天に基づき、天と人の本性とは密接な関係があるという信仰である。戦国時代の末期に、これまでの超越的な神とは違い、天は人間に内在すると考えられた。
儒教
孔子の性善説や宋代の朱子学などを受けつぐ儒教の正統的な思想においては、人間の道徳的本性は天に根拠を持つとされる。一方、荀子は天人分離を説き、天は風雨などの自然現象にすぎないとし、人間の意志や感覚に基づく人為的にな活動を天から独立させた。