善のイデア
イデアの中でもすべての善を善たらしめている善そのものであり、善の理想を示す。プラトンのイデア論は、イデアは物そのものだけでなく、倫理的なイデアもまた存在する。そしてこの善のイデアは、個々のイデアの頂点に位置する最高位のイデアで、すべてのイデアに善きものという性質を与える究極の理想のイデアである。従って、すべてのイデアは善のイデアに従属しているといえる。そのような意味で、イデアをイデアたらしめるもの、イデアのイデアとも呼ばれる。プラトンは、「善のイデアこそ、学び知る最大のものである」と述べ、哲学によって善のイデアに向けて魂の全面的な転換を行い、善のイデアを導きとして生きるべきだと説いた。
善のイデアから見るプラトンの哲学
善のイデアが最高のものであるということから、プラトンの哲学が、実践的なものであることを示す。またプラトンにとって倫理的な関心が強くもっており、政治においてもまた、その倫理の基盤の上で成り立つとしたことが推測される。