問題解決活動
問題解決活動とは、組織や個人が直面する課題や問題を特定し、その原因を分析して適切な対策を講じ、問題を解決するための一連のプロセスを指す。仕事の中で発生した問題を効率的に解決する能力、あるいは問題が発生する前に対応策を施して回避する能力が求められるが、こうした問題解決を進めていく活動と言える。ビジネスや製造業、教育、公共サービスなど、あらゆる分野で活用される基本的な活動であり、組織の効率や成果を向上させるために不可欠である。問題解決活動は、単なる問題の対応ではなく、根本原因を明らかにし、再発を防ぐための長期的な解決策を見つけることを重視する。
問題解決活動の重要性
問題解決活動における「問題」とは、一般的に目標と現状の間に存在するギャップと定義される。この定義に基づき、問題を解決することは、目標と現状のギャップを埋める行為を意味する。ここで、目標を「あるべき姿」とし、現状を「今の姿」と捉えると、問題解決活動は現状をあるべき姿へと導くプロセスとなる。目標(あるべき姿)は、上司や指導者からトップダウンで与えられる場合と、各構成員が自主的に設定する場合の2つの形態が存在するが、これらの目標設定方法には良い面と悪い面があるため、目標設定は慎重に行う必要がある。
問題解決活動の開始
問題解決活動は、まず問題の明確化から始まる。現実においては、このプロセスを十分に行わないまま解決に取り組むケースが多く見受けられる。問題の明確化とは、目標と現状を正確に把握し、そのギャップを明らかにすることである。この段階が適切に行われて初めて、問題解決活動は効果的に進行する。
問題の種類
問題には、大きく「発生型」と「設定型」の2種類が存在する。「発生型」の問題は、現状が目標(基準)から逸脱し、すでに好ましくない状態に陥っているものを指す。一方、「設定型」の問題は、目標を高く設定することで現状との差を意図的に生み出すものである。問題解決活動を効率的に進めるためには、まず問題の性格を正確に把握し、その性格に応じた解決活動を展開することが重要である。問題は多様な視点からいくつかのタイプに分類することが可能であり、解決すべき問題の特徴を分析する際には、現状と目標に焦点を当てて考察することが求められる。
問題の時間的変化のパターン
現状に着目する際、まず問題となっている結果の時間的な変化を把握する。結果の変化が「1. 良いときと悪いときがある」、「2. 常に悪い状態である」、「3. 時間の経過とともに悪化している」のいずれに該当するかを確認する。これらを理解することで、問題の性質をより正確に理解し、適切な対策を講じることが可能となる。
結果のばらつきのパターン
ある時点における結果のばらつきを把握する。その際、結果のばらつきにはいくつかのパターンがあり、たとえば「1. ばらつきが大きい」、「2. ばらつきは小さいが、目標からずれている」、「3. ばらつきと目標の双方に問題がある」のいずれかに該当するかを確認する。これらのパターンを把握することで、問題の特性に応じた適切な対策を導き出すことができる。
目標の方向
目標に着目する際には、その目標の方向性に基づいて問題の性格を把握する。目標には、「低ければ低いほどよい」ものと「高ければ高いほどよい」ものが存在する。例えば、不適合品率のように「低ければ低いほどよい」目標と、売上高のように「高ければ高いほどよい」目標が典型的である。さらに、「低ければ低いほどよい」目標には、事故の件数のように最終的に「ゼロにしたい」ものと、作業時間のように「ゼロにはなりえない」ものに分類される。その目標がこれらのどのパターンに該当するかを把握することで、改善の方向が決目ることができる。
問題解決の明確化
問題解決活動の問題を明確化して、展開していくことが重要となる。第一に解決すべき問題を明確にする局面がある。ここでは、目標と現状を把握し、そのギャップを理解することで、「何が起きているのか」を特定する。第二に、問題を引き起こしている原因を追及する局面が続き、この段階では「なぜ起きているのか」を解明するために原因分析が行われる。そして、最後に問題を解決するための具体的な手段を考え出す局面がある。「何をすべきか」という問いに対する答えを導き出し、実行に移す。通常、問題のレベルには「問題がはっきりしない」「原因がわからない」「解決策がわからない」という3つが存在する傾向にあるが、このような問題の性質に応じて3つの局面のどこに重点を置くかが決定される。
問題解決活動の事例
製造業における問題解決活動の事例として、不良品の削減が挙げられる。製造ラインで不良品が発生した場合、原因を特定し、対策を講じることで品質を向上させる。この際、特性要因図や5WHY分析などを用いて問題の原因を明らかにし、根本的な対策を講じる。また、問題解決活動は単なる現場の改善だけでなく、新製品開発やプロジェクトマネジメントにも適用されている。
リーダーシップ
効果的な問題解決活動にはリーダーシップが不可欠である。リーダーは、チームメンバーが問題を共有し、積極的に解決策を検討できる環境を整える役割を担う。また、リーダー自身が問題解決のプロセスを理解し、適切な意思決定を行うことで、チーム全体の問題解決活動を円滑に進めることができる。さらに、リーダーは問題解決の成功事例を共有することで、組織全体の問題解決能力を向上させる。
チームワーク
問題解決活動は、多くの場合、チームで取り組むことが多い。そのため、チームワークが重要となる。メンバー同士が協力し合い、多様な視点から問題を捉えることで、より効果的で創造的な解決策を見つけることができる。また、チームでの問題解決活動はメンバー間の信頼関係を強化し、組織全体の結束力を高める効果もある。
問題解決活動のためのツールと技法
問題解決活動を効率的に進めるためには、さまざまなツールや技法が活用される。代表的なものにブレインストーミング、マインドマップ、KJ法などがある。ブレインストーミングは、自由な発想でアイデアを出し合う手法であり、マインドマップは問題の構造を視覚的に整理するために用いる。KJ法は、情報やアイデアをグループ化し、問題の本質を見つけ出すための手法である。
継続的改善
問題解決活動は、継続的な改善活動(Kaizen)の一環としても重要である。問題を解決することで、一度だけでなく長期的な成果を維持することができる。PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)(まず、問題の認識と定義から始まり、次に問題の原因を特定するための分析を行う。その後、解決策を検討し、最適な解決策を選択・実行する。最後に、結果を評価し、必要に応じて改善策を見直す。)を継続的に回し続けることで、組織全体の能力が向上し、常に変化する環境に適応できる体質が形成される。これにより、組織はより柔軟で強固なものとなり、競争力を維持・向上させることができる。
フィードバック
問題解決活動の成果を評価することは、活動の効果を確認し、次回以降の活動に活かすために重要である。評価は、解決策の実施による結果やプロセス全体の効率性を基に行われる。また、フィードバックを通じて得られた知見は、組織全体の問題解決力を高める貴重な資産となる。