取得原価主義会計|資産を取得時の原価で評価し、会計処理を行う手法

取得原価主義会計

取得原価主義会計は、企業が資産を取得した際の原価を基準として、その資産の評価と記録を行う会計手法である。取得原価を基準とすることで、会計処理が安定し、資産評価における客観性が保たれる一方で、市場価値やインフレーションの変動を反映しないため、長期的には実際の経済状況と乖離する可能性がある。

会計処理の基本

取得原価主義会計では、資産は取得時点でのコストで記録され、その後の減価償却を通じて、徐々に帳簿価額が減少していく。この減価償却は、資産の使用期間にわたって行われ、最終的にはゼロに近づく。ただし、原価が変わらないため、資産の時価が上昇しても帳簿上には反映されない。

利点と制約

取得原価主義会計の利点は、その単純さと透明性にある。資産評価が客観的かつ一貫して行われるため、企業間での比較が容易であり、財務報告の信頼性が高まる。しかし、この手法は、特にインフレーションが高い場合や市場価値が大きく変動する状況では、資産の実際の価値を適切に反映できないという制約がある。

適用範囲と実務上の影響

取得原価主義会計は、主に固定資産や設備などの長期資産の評価に適用されるが、流動資産にも適用される場合がある。実務上、この手法を採用することで、企業は予期せぬ評価損失を回避できる反面、古い資産の価値が低く見積もられる可能性がある。そのため、財務分析においては、資産の市場価値との比較も考慮する必要がある。

まとめ

取得原価主義会計は、取得時の原価を基準に資産を評価することで、会計処理の一貫性と透明性を提供するが、市場価値を反映しない点において制約がある。

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