二律背反 カント

二律背反 Antinomie

二律背反(アンチノミー)とは、二つの法則や命題が同じだけの妥当性を持ちながら、たがいに矛盾して両立しないことを示す。ドイツ語では、アンチノミーという。言葉自体は古くからあったが、カントに至って主題化した。カントは、見たり聞いたりできる経験の領域に用いられる理性の原理を、経験をこえて純粋な思考の領域に拡大するときに、四つの二律背反があらわれるとした。経験の領域をこえて主張されているために、経験によって確かめることはできない。

二律背反

二律背反

目次

『純粋理性批判』カントの引用

退けることもできず、だからといって答えることもできないような問い

誤謬

カントによると、この二律背反(アンチノミー)もまた誤った推理に基づいており、感性に与えられる対象を、物自体と見たところからこの誤謬が生まれた、とした。世界はそれ自体において、われわれの主観から独立な全体として存しているのでないにも関わらず、二律背反(アンチノミー)における定立も反定立もすベて世界全体を把握しようとしているからである。

第3と第4の二律背反の可能性

カントは、第1と第2を数学的アンチノミーといい、第3と第4は力学的アンチノミーと呼ばれる。数学的アンチノミーは誤りであると退けたが、力学的アンチノミーにおいては、真でありうると考えた。それは,定立の主張を物自体の世界に,反定立の主張を現象界にあてはめ、それぞれにおいて両者は妥当し、しかも互いに矛盾しない可能性がある、とした。

カントの哲学的意義

カントは現象と物自体という二重の観点を導入したことで従来の形而上学では解決不可能と思われた、アンチノミーを和解させる可能性が生まれた。