上がり框|玄関で外部と内部を区切る伝統的な段差部分

上がり框

上がり框(あがりがまち)とは、日本の伝統的な家屋の玄関に設置されている、室内と外部を区切る段差部分のことを指す。この部分は、外から室内に上がる際に靴を脱ぐための場所として機能しており、外の土足と室内の清潔な空間を明確に分ける役割を果たしている。上がり框は、日本家屋の特徴的な要素の一つであり、訪問者が家に入る際に足を清め、礼儀を重んじる文化を象徴している。

上がり框の構造

上がり框は、玄関土間と室内との間に設けられた段差部分で、通常は木材で作られている。框は横に長い板状で、土間側から室内に上がる際に足を乗せる部分を指す。木の種類やデザインは住宅の様式によって異なり、伝統的な和風建築では高級な木材が使われることが多い。框は耐久性が必要で、足を踏み込む場所としても強度が求められるため、厚みや加工が工夫されている。

上がり框の役割

上がり框の主な役割は、外部からの土や埃を室内に持ち込まないようにすることだが、それだけでなく、室内空間への入り口としての象徴的な意味合いもある。訪問者が靴を脱ぎ、足を清めてから家に入るという作法は、日本の礼儀や美意識に深く根付いている。また、段差によって物理的な区切りが生まれるため、外と内を明確に分ける空間デザインの一部としても機能している。

現代住宅における上がり框

現代の住宅においても、上がり框は伝統的な要素として残っているが、デザインや素材はよりモダンなものが選ばれることが多い。また、段差が低く設計されることも増えており、バリアフリーの観点から完全に段差をなくすケースもある。しかし、上がり框が持つ美的価値や空間の分断機能は、日本の住宅文化において根強く支持され続けている。

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