ワーケーション
ワーケーションとは、仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた概念であり、リモートワークの普及や働き方改革の進展とともに注目されている。通常のオフィス業務から離れ、観光地やリゾート地など非日常的な環境で業務をこなしつつ、余暇やリラクゼーションも同時に楽しむ点が特徴である。企業にとっては社員のモチベーション向上や地域との交流促進、個人にとってはワークライフバランスの充実などさまざまなメリットが期待される。
背景
リモートワークやフレックス制度など働き方の多様化が進む中で、仕事と休暇を同時に満喫するワーケーションが話題を集めている。IT環境の整備によって場所や時間に縛られず業務が行いやすくなり、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけにテレワークが急速に拡大したことも追い風となった。さらに地方創生の観点から、過疎化の進む地域に人を呼び込む手段としても、ワーケーションは注目されている。
具体的なスタイル
ワーケーションのスタイルは多種多様である。短期間の旅行を兼ねて数日間だけリゾート地のコワーキングスペースで仕事をするケースもあれば、長期的に移住するような形で現地に根を下ろし、その場所ならではのアクティビティを楽しみながら働くケースもある。企業が社員向けにプログラムを提供している事例や、自治体が補助金や宿泊施設を整備して誘致を図る動きも活発化している。
メリット
第一に、環境を変えることで新鮮な刺激を得られ、生産性やクリエイティビティが向上しやすいとされる。第二に、強制的にオフィスから離れることによって長時間労働を避け、オンとオフのメリハリをつけやすくなる。第三に、地域の文化や自然に触れながら働くことで、リラックス効果やストレス軽減の効果が期待される。さらに企業側としても、社員のモチベーション維持やチームビルディングにつながる点でメリットが大きい。
課題
ワーケーションの導入にあたっては、通信環境やインフラ整備、労働管理のルールづくりなどの課題が指摘される。特に地方のリゾート地や観光地では、安定したインターネット回線を確保する必要があるほか、電源設備や作業スペースの充実も欠かせない。また就業規則や労働時間の管理をどのように行うか、企業や雇用形態によって取り組み方が異なるため、事前の調整が必要となる。
地域活性化との関係
ワーケーションが注目される背景には、地方や観光地の活性化を図るねらいもある。都市部から一時的に労働力や消費が流入することで、飲食店や宿泊施設、レジャー産業など多方面への経済波及効果が期待される。地元の人々との交流をきっかけに新たなビジネスや移住につながる可能性があり、自治体が補助金制度を打ち出す事例も少なくない。
実践のポイント
実際にワーケーションを行う場合、目的を明確にすることが大切である。リラックス重視なのか、新規事業やアイデア創出を狙うのかによって選ぶ場所や期間が変わる。通信環境や宿泊施設の下調べは必須であり、周辺のレジャーや観光情報も収集しておくと滞在中の満足度が高まる。企業として導入する場合は、労務管理や出張費用の扱いなどを明確化し、社員が安心して参加できる体制を整えることが求められる。
今後の展望
ウィズコロナやポストコロナの時代において、テレワークは一過性のブームにとどまらず、働き方の選択肢として定着しつつある。この流れに合わせてワーケーションもまた、多様なニーズを反映しながら進化していくと考えられる。感染症対策を踏まえた衛生管理や個室ワークブースの整備など、快適かつ安心して働ける環境づくりが今後さらに重要となり、企業や自治体の取り組みが期待される。