マルタ会談|地中海のマルタ島で行われた米ソ首脳会談

マルタ会談

マルタ会談とは、1989年12月、地中海のマルタ島で行われた米ソ首脳会談である。冷戦の終結を宣言し、米ソ関係の新時代の到来を確認した歴史的な会談である。アメリカのジョージ・H・W・ブッシュ大統領とソビエト連邦のミハイル・ゴルバチョフ書記長は、この会談を通じて、第二次世界大戦後の東西冷戦という長い対立の時代に終止符を打つことを発表した。

背景

1985年にゴルバチョフがソ連の書記長に就任して以降、米ソ関係は改善の兆しを見せ始めた。1989年には東欧革命が起こり、東欧諸国が次々と共産主義体制からの脱却を図った。同年11月にはベルリンの壁が崩壊し、冷戦の象徴とも言える「鉄のカーテン」は消滅した。このような激動の中で、米ソ両国は冷戦の終結を正式に宣言するための会談を計画した。

マルタ会談の開催

1989年12月2日から12月3日にかけて、地中海のマルタ島沖合で米ソ首脳会談が開催された。会場となったのはソ連のクルーズ客船「マクシム・ゴーリキー号」であった。この会談には、ソ連側からはエドゥアルド・シェワルナゼ外務大臣、アメリカ側からはジェームズ・ベイカー国務長官やブレント・スコウクロフト国家安全保障問題担当大統領補佐官などが同席した。

マルタ会談の内容と成果

マルタ会談では、以下の主要な課題について議論が行われた。具体的な合意はなされなかったものの、両首脳は冷戦の終結と米ソ関係の新たな時代の到来を確認した。特に、ゴルバチョフが掲げる新思考外交が評価され、アメリカはペレストロイカと共産圏の改革を支持する姿勢を示した。

議題

  • 軍備管理・軍縮問題
  • 東欧問題
  • ドイツ再統一問題
  • ソ連経済問題
  • 中東紛争問題

ヤルタからマルタへ

1945年2月のヤルタ会談で形成された東西冷戦の枠組みは、マルタ会談をもって終焉を迎えた。この歴史的転換点は「ヤルタからマルタへ」と表現されることが多い。ゴルバチョフは会談後の共同記者会見で、世界が冷戦という時代を乗り越え、新たな平和の時代に入ることを宣言した。

共同声明

会談終了後の共同声明において、ゴルバチョフは「世界は一つの時代を克服し、新たな時代へ向かっている。我々は長く、平和に満ちた時代を歩き始めた」と述べた。ブッシュ大統領は「我々は永続的な平和と、東西関係が持続的な共同関係になることを実現することができる」と応じた。

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