プライマリー・マーケット
プライマリー・マーケット（Primary Market）は、証券や金融商品が初めて発行される市場であり、新規発行の株式や債券が投資家に直接販売される場である。企業や政府が資金を調達するために、プライマリー・マーケットで証券を発行し、その資金を用いて様々な事業活動を行う。プライマリー・マーケットでは、証券の発行と購入が行われるため、資本市場の重要な一部を成している。
プライマリー・マーケットの機能
プライマリー・マーケットの主な機能は、新たな資金を調達することである。具体的には以下のような機能がある。
1. 資金調達： 企業や政府が新規に発行する株式や債券を通じて、直接投資家から資金を調達する。これにより、事業の拡張やプロジェクトの資金を確保することができる。
2. 初期市場価格設定： 証券がプライマリー・マーケットで発行される際に、発行価格が設定される。発行価格は、企業の評価や市場の需要に基づいて決定される。
3. 透明性と規制： プライマリー・マーケットでは、新規発行の証券に関する情報が公開され、投資家に対して十分な情報提供が行われる。これにより、投資家は適切な判断を行いやすくなる。
4. 初期投資機会の提供： 投資家に対して、新たに発行される証券への投資機会を提供する。これにより、投資家は新興企業や成長企業に早期に投資する機会を得ることができる。
プライマリー・マーケットのプロセス
プライマリー・マーケットで証券が発行されるプロセスは以下のように進行する。
1. 証券発行の決定： 企業や政府が資金調達の必要性を感じ、新規証券の発行を決定する。発行する証券の種類（株式、債券など）や発行額が決定される。
2. 証券の設計と準備： 発行する証券の条件（発行価格、利率、償還期限など）が設計され、証券の発行準備が進められる。必要に応じて、証券の詳細情報が作成される。
3. 投資家への提供： 証券が投資家に対して提供され、購入の募集が行われる。これには、公開募集やプライベート・プレースメント（私募）などの手法が含まれる。
4. 発行と資金調達： 証券の購入が確定すると、証券が正式に発行され、企業や政府は調達した資金を受け取る。資金は、指定された用途に使われる。
5. 上場手続き（株式の場合）： 株式がプライマリー・マーケットで発行された後、証券取引所に上場される場合がある。これにより、二次市場（セカンダリー・マーケット）での取引が可能となる。
プライマリー・マーケットの種類
プライマリー・マーケットには、以下のような種類がある。
1. 公開募集（Public Offering）： 広範な投資家に対して証券を公開する方法であり、証券取引所を通じて行われることが一般的である。新規株式公開（IPO）や新規債券発行などが含まれる。
2. 私募（Private Placement）： 限られた投資家に対して証券を販売する方法であり、通常は大口投資家や機関投資家が対象となる。公開募集に比べて規制が緩やかである。
3. スポット発行（Spot Issue）： 企業が急な資金調達が必要な場合に、既存の株主や特定の投資家に対して証券を発行する方法である。即時の資金調達が可能となる。
プライマリー・マーケットのメリットとデメリット
プライマリー・マーケットには、以下のようなメリットとデメリットが存在する。
メリット：
1. 資金調達の機会： 企業や政府は新規発行の証券を通じて必要な資金を調達することができる。これにより、事業の拡張やプロジェクトの実施が可能となる。
2. 投資機会の提供： 投資家は新たに発行される証券に早期に投資する機会を得ることができ、成長のポテンシャルがある企業への投資が可能となる。
デメリット：
1. リスクの存在： 新規発行の証券は、企業の業績や市場の状況に大きく影響されるため、リスクが伴う。投資家は、発行企業の情報を十分に把握する必要がある。
2. 発行コスト： 証券の発行には、手数料や法的手続きなどのコストがかかる。企業はこれらのコストを負担する必要がある。
プライマリー・マーケットの規制と監視
プライマリー・マーケットでは、証券の発行と取引に関する規制と監視が行われている。これにより、投資家保護や市場の透明性が確保される。
1. 規制機関： 証券取引委員会（SEC）などの規制機関が、証券の発行に関する規制を行い、発行企業に対して情報開示を求める。
2. 情報開示： 発行企業は、証券の発行に関する詳細な情報を開示することが求められる。これにより、投資家は適切な判断を行うための情報を得ることができる。
3. 市場監視： 証券取引所や監視機関が、市場での取引や発行活動を監視し、不正行為や市場の歪みを防ぐ。