パー(金融)
パーとは、金融市場において、証券や債券の額面価格(額面価値)がそのまま市場価格と等しい状態を指す用語である。特に債券市場では、債券が額面価格で取引されることを「パーで取引されている」と表現し、株式市場では、発行価格と市場価格が一致している場合にも用いられる。パーは、金融商品の適正価値や均衡状態を示す一つの基準として重要視される。
パーの概念
パーは、特に債券取引において頻繁に使用される概念である。債券の額面価格は通常100と設定されており、市場での取引価格が100の場合、「パーで取引されている」と言われる。パーを超えると「プレミアム」と呼ばれ、パーを下回ると「ディスカウント」と呼ばれる。このように、パーは市場における適正な基準価格として機能する。
パーの例
パーは、以下のような場面で使用される:
- 債券市場:債券が発行時の額面価格100で取引される場合、その債券は「パーで取引されている」と表現される。
- 株式市場:企業が株式を発行する際、発行価格と市場価格が同一であれば、株式が「パーで発行された」と言われる。
パーの重要性
パーは、金融商品の価値を判断するための重要な基準である。債券がパーで取引されている場合、投資家にとってその債券のリスクやリターンは適正とみなされていることが多い。一方、パーを超えた取引価格は市場がその商品に対して高い評価をしていることを示し、逆にパーを下回る価格は、リスクや将来の収益が低いと判断されている可能性がある。
パーの活用シーン
パーの概念は、主に次のような状況で投資家にとって重要となる:
- 債券の購入判断:債券がパーで取引されている場合、投資家は額面通りの価値が期待できるため、安定した収益が見込める。一方、ディスカウントやプレミアムで取引される場合、リスクやリターンが異なるため、それを考慮した投資判断が必要になる。
- 株式の新規発行:企業が株式をパーで発行する際、投資家にとっては市場価格と発行価格が等しいため、過剰なリスクを負わずに投資できる安心感がある。
パーと利回りの関係
債券におけるパーと利回りは密接に関連している。債券がパーで取引されている場合、クーポン利率(債券に定められた利率)は市場利回りと一致する。しかし、債券がディスカウントやプレミアムで取引される場合、実際の利回りはクーポン利率とは異なり、投資家は割引された価格で債券を購入することで、より高い利回りを得ることができる。