デルタ(金融)
デルタ(delta)は、金融市場、特にオプション取引において、オプションの価格が原資産の価格変動に対してどの程度感応するかを示す指標である。デルタは、オプションの感応度やヘッジングの戦略において重要な役割を果たし、オプションの価格が原資産の価格変動に対してどのように反応するかを測定する。
デルタの基本概念
デルタは、オプションの価格が原資産の価格の変動にどの程度影響されるかを表す指標であり、通常、-1から1の範囲で表される。デルタの値が1に近い場合、オプションの価格は原資産の価格とほぼ同じように変動することを意味し、デルタが0の場合、オプションの価格は原資産の価格の変動に影響されない。例えば、デルタが0.5であれば、原資産の価格が1単位変動するごとに、オプションの価格が0.5単位変動する。
デルタの種類
デルタには、主に2種類がある。コールオプションのデルタとプットオプションのデルタである。コールオプションのデルタは通常、0から1の範囲で、原資産の価格が上昇するほどデルタの値も大きくなる。一方、プットオプションのデルタは通常、-1から0の範囲で、原資産の価格が下落するほどデルタの値も小さくなる。これにより、コールオプションは原資産の価格の上昇に対して感応し、プットオプションは原資産の価格の下落に対して感応する。
デルタヘッジング
デルタヘッジングとは、オプションポジションのリスクを管理するための戦略である。この戦略では、オプションのデルタを考慮して原資産を売買し、ポートフォリオ全体のデルタをゼロに保つことを目指す。デルタヘッジングを行うことで、原資産の価格変動に対するリスクを最小限に抑えることができる。具体的には、デルタの変化に応じて原資産を売買し、ポートフォリオのバランスを維持する。
デルタの限界
デルタは有用な指標である一方、いくつかの限界もある。まず、デルタは価格変動に対する感応度を表す一つの側面であり、オプションの価格変動に影響を与える他の要因(例えば、ボラティリティ、時間の経過、金利など)を考慮しない。さらに、デルタは線形の関係を前提としているため、大きな価格変動が発生した場合には正確な予測が難しくなる。
デルタとガンマ
デルタと関連する指標として、ガンマ(gamma)がある。ガンマはデルタの変化率を示し、オプションの価格変動に対するデルタの感応度を測る。デルタが変化する速さを知ることで、より精密なリスク管理やヘッジングが可能になる。ガンマが高いオプションは、原資産の価格変動に対してデルタが急激に変化するため、リスク管理において重要な役割を果たす。