『コーラン』
『コーラン』(『クルアーン』)とは、イスラム教の聖典である。ムハンマドがアッラーからさずけられた啓示の記録で、アラビア語で「読誦すべきもの」という意味である。第3代カリフのウスマーンの時代の650年頃に現在の形に編集された。宗教面のみならず、日常生活で守るべきことも含まれている点に大きな特色がある。
コーラン
コーランはムハンマドに起こった啓示がまとめられたもので、全114章から成る。各章は少ないもので3、一番多いもので286の節から構成されており、長さは章によって異なる。
予言者
予言者では、霊感によって神より預けられた言葉を伝える者である。コーランでは28人の名があげられ、なかでもユダヤ教のアブラハムやモーセ、キリスト教のイエス、ダヴィデ、ソロモンが高く評価され、ムハンマドこそ最終にして最高の預言者であるとしている。
生活の法
コーランには、1日5回の礼拝や断食・喜捨・巡礼などの信仰にかかわる事柄ばかりでなく、結婚や離婚、遺産相続、豚肉を食べることの禁止などが書かれており、政治、経済、社会、文化など、生活の体系として機能している。
読誦されるもの
コーランとは読誦されるものという意味で、黙読ではなく声に出して朗読しなければならない。コーランの朗読には、特別な節回しをしなければならず、コーランには朗読の記号が記されている。
教育
イスラム教では、子どもの頃から読誦学校で教本として教育されている。
アラビア語
通常、コーランはアラビア語で記されており、コーランを翻訳することは許されない。クルアーンはアッラーの言葉であり、その美しさはアラビア語以外では表現できないという認識によるものである。
『コーラン』 一開扉の章メッカ啓示
1.慈悲ぶかく慈愛あまねきアッラーの御名において。
2.たたえあれアッラー、万有の主。
3.慈悲ぶかく慈愛あまねき方。
4.審判の日の支配者。
5.我々はあなたを崇め、あなたに助けを求めまつる。
6.我々を正しき道に導き給え。
7.あなたの怒り給うものの道、踏み迷ったものの道ではなく、あなたの御恵みを垂れ給う人々の道に。
『コーラン』 一〇六クライシュの章メッカ啓示
慈悲ぶかく慈愛あまねきアッラーの御名において。
1.クライシュの安全を願うなら、
2.冬と夏の隊商の安全を願うなら、
3.彼等をして、この館の主に仕えさせよ。
4.飢に対しては彼等に食を与え恐れに対しては彼等を守り給うた方に。
『コーラン』 一一二純粋の章メッカ啓示
慈悲ぶかく慈愛あまねきアッラーの御名において。
1.言え。「彼こそアッラー、唯一の方。
2.アッラー、永遠の方。
3.生まず、生まれず。
4.並ぶもの、何一つなし」と。