フーゴー・グロティウス Hugo de Groot 1583-1645
オランダの法学者・哲学者。近代自然法の父、国際法の父。主著『戦争と平和の法』、『海洋自由論』。8歳でラテン語を習得し、11歳でライデン大学に入学した秀才。16歳で弁護士になり、政治・外交に活動した。しかし、宗教上の争いにまきこまれて逮捕され、フランスに亡命する。その後にスウェーデンの駐仏大使となった。人間の本性に由来する人類普遍の原理として自然法を説き、自然法を法体系の最上位において、すべての法を基礎づけた。自然法は、理性的で自由・平等な人間からなる社会の基本的な秩序である。
『戦争と平和の法』グロティウス
実体法と変わることなのない規範的な自然法とを区別して、実体法は自然法と合致しているときにのみ妥当要求をもっているとした。『戦争と平和の法』
「自然法は理性の掟であり、この掟が示すのは、行為にそれが理性的な自然本性そのものと一致している、あるいは一致していないといった理由から道徳的な必然性あるいは醜悪性が内在している、ということである。」
国際法の提言
グロティウスは、ドイツ三十年戦争をおおいに悲観し、悲惨な戦争をなくすためにも国際社会においても自然法に基づいて国家の相互の利益を目的とする国際法を制定するべきだと説いた。
自然法の基礎
自然法の基礎は、人間を秩序ある共同体へと駆り立てる人間の社交性衝動と人間に認識を可能にする人間の理性とにあり、これらは人間の自然本生と調和している。自然法の内容的な中身は一方では人間の自然本生から生じる明白な原理から、また他方では文化を有する諸国民が一致してもっている見解の考察から究明すべきである。