かさ歯車|円すい型の2軸が互いに交差する歯車

かさ歯車

かさ歯車(ベベルギア bevelgear)とは、円すい型をして、その円すい面に歯を付けた歯車である。円すい面を利用して2軸が互いに交差する特徴がある。かさ歯車の中には、歯が直線状のすぐばかさ歯車、歯が斜めにねじれているまがりばかさ歯車、同じ歯数の歯車のかみ合いで軸角90°のマイタ歯車(miter gear)、ピッチ面がラックのように平面になった冠歯車(crown gear)がある。

構造的特徴と動作原理

かさ歯車の形状は、円錐の一部を切り取った「円錐台」を基礎としている。この円錐を「ピッチ円錐」と呼び、2つのかさ歯車が噛み合う際、それぞれのピッチ円錐の頂点が一点で交差するのが標準的な設計である。かさ歯車の歯の大きさは、円錐の先端に向かうほど小さくなるため、モジュール(歯の大きさの指標)は外端(大端部)の値を基準として設定される。伝達効率は非常に高く、適切な潤滑条件下では98%以上の効率を得ることが可能である。ただし、かさ歯車は回転中に軸方向へ押し出す力(スラスト荷重)が発生するため、軸受(ベアリング)の設計においては、これらの荷重を適切に支持する構造が求められる。

かさ歯車の種類

かさ歯車には、その形状によって、すぐばかさ歯車、まがりばかさ歯車、マイタ歯車、冠歯車がある。

使用される材料と製造工程

かさ歯車に用いられる材料は、用途や負荷条件に応じて選択される。一般的には炭素鋼や合金鋼が主流であり、強度と耐摩耗性を高めるために、歯面には浸炭焼入れや高周波焼入れなどの熱処理が施される。製造工程は以下の通りである。

  • 粗加工:旋盤を用いて円錐状のブランク(素材)を製作する。
  • 歯切り加工:専用 of ベベルギヤカッターやCNC歯切り盤を用い、歯の形状を創成する。
  • 熱処理:強度を確保するため、焼入れおよび焼戻しを行う。
  • 仕上げ加工:熱処理による歪みを除去し、精度を高めるために歯面研削やラッピングを行う。

主要な歯車の特性比較

歯車の種類 軸の関係 効率 主な特徴
平歯車 平行 非常に高い 製作が容易、軸方向荷重が発生しない
かさ歯車 交差 高い 方向変換が可能、スラスト荷重が発生する
ねじ歯車 食い違い 低い 滑りが大きく、小動力の伝達に向く
ウォームギヤ 食い違い 低い〜中 大きな減速比が得られ、逆転防止が可能

すぐばかさ歯車

すばかさ歯車はストレートベベルギアともよばれ、歯が直線状になっている歯車である。シンプルな形状で、スラスト荷重が小さい。回転速度が大きいと騒音の原因となるため、周速2m/s以下の低速で利用される。

まがりばかさ歯車

まがりばかさ歯車とは、スパイラルベベルギアと呼ばれ、歯が斜めにねじれているかさ歯車である。曲線状・ねじれているため、すぐばかさ歯車に比べてコストが高いものの回転がなめらかで高速回転に対応できる。また歯面強度が優れている。

マイタ歯車

マイタ歯車は、軸角90°の歯数の等しい一組のかさ歯車である。

冠歯車

冠歯車とは、ピッチ面がラックのように平面になったかさ歯車である。

かさ歯車の名称

かさ歯車の寸法

軸受

かさ歯車軸受は、片持ちはりのような状態になるため、強固なものにして、できる限り短い軸にする必要がある。

軸の角度

軸の角度の軸受は、90°の軸角が基準で、90°以下の鈍角、90°以上の鋭角がある。おおよそ40°~120°がある。

設計上の留意点とメンテナンス

かさ歯車の設計においては、バックラッシ(歯の隙間)の管理が極めて重要である。バックラッシが小さすぎると発熱や焼き付きの原因となり、大きすぎると打撃音や強度の低下を招く。また、組立時の歯当たり(接触状態)の調整も精度を左右する。定期的なメンテナンスでは、摩耗状況の確認とともに、酸化や汚染のない清浄な潤滑油の供給が求められる。特に高速回転で使用されるかさ歯車は、潤滑不良が致命的な破損に直結するため、強制循環給油などの対策が講じられることもある。

かさ歯車の製図と簡略図

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