カトリック教会
カトリック教会はイエスの使徒団に起源をもち、ローマ主教(教皇)を可視的中心とする普遍教会である。使徒継承と公会議の伝統を受け継ぎ、聖書と聖伝を信仰の規範とする。典礼と秘蹟を通じて共同体を養い、修道院・大学・病院・慈善事業などを歴史的に展開してきた。古代ローマ世界で形成され、中世ヨーロッパの宗教・政治・文化に深く関与し、近世の宗教改革と対抗宗教改革、さらに世界宣教を経て今日に至る。
語源と自己理解
語「カトリック」はギリシア語の「普遍的」に由来する。自らを普遍なる教会と理解し、地方教会(各教区)の多様性を保ちながら、教皇と司教団の交わりによって一致を図る。この一致は礼拝・教義・教会法の共通性に支えられる。
組織と権威
組織は教皇、全世界の司教団、司祭・助祭、修道者、信徒から成る。教義・規律は公会議や教皇文書で整えられ、ラテラン・トリエント・バチカンの諸公会議が要所を占める。司教は教区を治め、司祭は秘蹟と説教を担う。
典礼と七つの秘蹟
- 洗礼・堅信:キリスト者としての新生と霊の賜物
- 聖体:キリストのからだに与る中心の祭儀
- ゆるし:罪の赦しと和解
- 病者の塗油:苦難への慰め
- 叙階:奉仕職の任務付与
- 婚姻:契約と共同体の祝福
歴史的展開
古代教父の神学と公会議で基礎が固まり、中世には修道運動と大学が学知を育てた。十字軍・封建社会・王権との関係を経て、16世紀に宗教改革が起こり対抗宗教改革が進展、トリエント公会議で教理と規律を再定式化した。近世には宣教が拡大し、近現代は社会教説と第二バチカン公会議を通じて現代世界との対話を深める。関連項目として宗教戦争を参照。
神学の基礎
三位一体と受肉は信仰の中心である。恵みは秘蹟において具体化し、信仰と愛徳の業は相補的に救いの道をなす。聖書は神の言葉であり、聖伝はその真意を生き生きと伝える解釈共同体の記憶である。
宗教改革との関係
16世紀、信仰義認・教会権威・秘蹟理解などをめぐって論争が起こり、各地で政治・社会とも結びついた。名称の由来に関わるシュパイアー帝国議会や、諸領邦が礼拝・教会運営を掌握する領邦教会制を理解すると、当時の力学が見えてくる。運動は民衆蜂起にも波及し、ドイツ農民戦争や指導者ミュンツァーの位置づけが重要である。翻訳の進展(聖書のドイツ語訳)や学匠メランヒトンの活動、象徴的な避難地ヴァルトブルク城なども宗教文化史の焦点となる。対立の向こう側に、今日のエキュメニズムがある。比較対象としてはプロテスタントを参照。
文化・社会への影響
建築・絵画・音楽において典礼空間とパトロネージが創造性を支え、学校・大学・病院・救貧制度は地域社会を組織化した。修道会は祈りと学知と奉仕を統合し、とりわけ教育・宣教に長けた会は世界的ネットワークを築いた。
主要公会議(抄)
ニカイア(325)・カルケドン(451)でキリスト論が整い、ラテランの一連、公会議トリエント(1545–63)で改革と規律を確立。第一・第二バチカン公会議は教会論と現代世界への姿勢を深めた。