Tier 2|金融機関の補完的な自己資本

Tier 2

Tier 2とは、金融機関の資本規制において、自己資本比率を計算する際に含まれる二次的な資本を指す。Tier 1が金融機関のコア資本、つまり株主資本や利益剰余金などの最も安定した資本であるのに対し、Tier 2はより補完的な資本であり、劣後債や再評価準備金、その他の控除項目を含む。Tier 2資本は、金融機関が規制を遵守するために重要な役割を果たすが、Tier 1に比べるとその質はやや低いとされる。

Tier 2資本の構成要素

Tier 2資本には、劣後債務(破綻時に他の債務よりも返済順位が低い)、再評価準備金、ハイブリッド証券などが含まれる。これらの資本は、Tier 1資本の補完として機能し、金融機関がストレスに耐える力を増強する。劣後債は通常、長期的な資金調達手段として用いられ、再評価準備金は資産の再評価による利益を計上するためのものとなる。

Tier 2資本の役割

Tier 2資本は、Tier 1資本に次ぐ位置づけであり、金融機関が危機に瀕した際にその損失を吸収する役割を持つ。自己資本比率を計算する際にTier 2資本を加えることで、金融機関は規制当局の資本要件を満たし、健全性を保つことができる。ただし、Tier 2資本はTier 1資本よりも損失吸収力が低いため、リスクの高い資本と見なされることが多い。

Tier 2資本と規制

国際的な資本規制であるバーゼル規制(Basel III)では、Tier 1資本とTier 2資本の両方を自己資本比率に含めて評価することが求められている。しかし、Tier 1資本がより重要視され、Tier 2資本の比重は制限されている。このため、金融機関は、質の高いTier 1資本を確保しつつ、必要に応じてTier 2資本を活用することで、安定的な運営を行う。

Tier 2資本の課題

Tier 2資本には、Tier 1資本に比べていくつかの課題がある。特に、劣後債務や再評価準備金は、金融機関が倒産する場合に返済順位が低く、リスクが高いため、投資家にとっては慎重に扱われる。また、Tier 2資本の質が劣るため、規制当局からも注視されており、過度な依存は好ましくないとされている。

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