OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)
OTM(Out of The Money、アウト・オブ・ザ・マネー)とは、オプション取引において、オプションが現在の市場価格に対して利益を生まない状態を指す用語である。具体的には、コールオプションの場合は行使価格が基礎資産の現在価格を上回っている状態、プットオプションの場合は行使価格が基礎資産の現在価格を下回っている状態を指す。このようなオプションは、権利行使が経済的に不利であるため、通常は行使されない。
OTMの基本概念
OTMは、オプション取引において3つの状態の1つであり、他の2つの状態には「イン・ザ・マネー(ITM)」と「アット・ザ・マネー(ATM)」がある。OTMの場合、オプションの行使が利益をもたらさないため、オプションの価値は時間価値のみとなる。言い換えれば、OTMオプションは、権利行使によって現時点では損失を被るため、投資家は通常そのオプションを行使しない。
コールオプションにおけるOTM
コールオプションがOTMである場合、オプションの行使価格(ストライクプライス)は基礎資産の現時点での市場価格よりも高い。例えば、基礎資産が現在100円で取引されているときに、行使価格が110円のコールオプションはOTMとなる。この場合、オプションを行使しても利益を得ることはできないため、通常は行使されず、オプションの価値は時間価値のみに限定される。
プットオプションにおけるOTM
プットオプションがOTMである場合、オプションの行使価格は基礎資産の現時点での市場価格よりも低い。例えば、基礎資産が現在100円で取引されているときに、行使価格が90円のプットオプションはOTMとなる。この場合も同様に、オプションを行使しても利益を得ることはできず、オプションは行使されないことが一般的である。
OTMオプションの価値
OTMオプションの価値は、そのオプションが将来的にITMとなる可能性に依存する。したがって、OTMオプションは通常、ITMオプションやATMオプションに比べてプレミアムが低い。投資家は、このようなオプションを購入することで、少額のプレミアムで大きな利益を得る可能性を持つ一方、オプションが無価値に終わるリスクも伴う。
OTMのリスクと戦略
OTMオプションはリスクが高い反面、大きなリターンを期待できるため、投機的な投資家に好まれることが多い。投資戦略としては、将来の市場変動を予測し、大きな価格変動が期待される場合にOTMオプションを購入することが考えられる。また、カバードコール戦略やプット売り戦略など、特定の市場環境においてリスクを管理しながら収益を狙う方法もある。
OTMの実務上の応用
OTMオプションは、リスク管理やヘッジの一環としても利用される。例えば、投資家が保有する株式の価格が急落するリスクに対処するために、OTMプットオプションを購入することがある。このようなヘッジ戦略は、予期せぬ市場変動に対する保険の役割を果たす。また、OTMオプションを売却することで、オプションのプレミアムを収益として得ることも可能である。