G-SIBs
G-SIBs（Global Systemically Important Banks、グローバル・システム上重要銀行）とは、金融システムに対する影響が特に大きいとされる国際的な銀行を指す。これらの銀行は、規模、複雑性、相互接続性、そして金融市場での影響力の大きさから、世界的な金融安定性に重要な役割を果たしており、その倒産や重大な問題が広範な影響を及ぼす可能性がある。
G-SIBsの選定基準
G-SIBsは、国際的な金融規制機関である金融安定理事会（FSB、Financial Stability Board）によって選定される。選定基準には、以下のような要素が含まれる：
- 銀行の規模：総資産や預金など、銀行の規模が大きいほど影響力が高いとされる。
- 複雑性：銀行の業務や取引の複雑さ、または国際的な展開の広がりが評価される。
- 相互接続性：他の金融機関や市場との関連性が強い場合、リスクが広がる可能性がある。
- 重要性：金融市場や経済に対する影響の大きさが考慮される。
G-SIBsのリスク管理と規制
G-SIBsは、その影響力の大きさから、通常の銀行規制よりも厳格な規制が適用される。具体的には、以下のような規制や要件が課される：
- 資本要件：より高い資本の保有が求められ、リスクに対する耐性を強化する。
- 監視：監督当局による厳格な監視とレビューが行われる。
- 解決策：倒産時の影響を最小化するための解決策（解決計画やストレステスト）が策定される。
- 解体計画：G-SIBsが破綻した場合に備えた解体計画（Living Will）が求められる。
G-SIBsの影響と重要性
G-SIBsは、国際金融システムにおいて重要な役割を果たす一方で、その破綻が金融市場や経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。従って、G-SIBsの健全な運営とリスク管理は、金融システムの安定性を維持するために不可欠である。これらの銀行が直面するリスクや問題は、広範な金融市場に波及効果をもたらすため、慎重な監視と規制が求められる。
G-SIBsのリストと更新
G-SIBsのリストは、定期的に更新される。金融安定理事会（FSB）は、毎年G-SIBsのリストを公表し、銀行のシステム的重要性に基づく順位付けや新たな選定を行う。リストの更新は、金融市場の変化や銀行の業務展開の変化を反映し、金融安定性を保つための措置が講じられる。
G-SIBsと金融危機
過去の金融危機において、G-SIBsの破綻や問題が市場に広範な影響を与えたことがある。例えば、2008年のリーマン・ブラザーズの破綻は、金融システム全体に深刻な影響を与えた。これを受けて、G-SIBsの規制強化やリスク管理の改善が進められている。
G-SIBsの将来の展望
G-SIBsの将来には、さらなる規制強化やリスク管理の革新が期待される。国際的な金融環境の変化や新たなリスクの出現に対応するため、G-SIBsの監視や規制は進化し続ける。金融安定理事会やその他の規制機関は、金融システムの健全性を保つための取り組みを継続していくであろう。