DALI
DALIは照明器具と制御機器の相互運用を目的とするデジタル照明制御インタフェースであり、建物内の調光・点滅・状態監視をバス型で統一的に扱える規格である。標準化は国際規格であるIEC 62386に基づき、アドレス指定、グループ化、シーン呼出し、ステータス問い合わせなどのコマンド体系を備える。アナログ制御に比して指令値の再現性や問い合わせ機能に優れ、ビル全体のライフサイクルにおける保守・改修の効率化に資する。
定義と規格体系
DALIの規格はIEC 62386シリーズで構成され、機器分類(制御装置、電子安定器、入力デバイス等)ごとにパートが分かれる。世代としては初期のDALIに対し、相互接続性の試験要件や入力デバイスの扱いを拡充したDALI-2が広く用いられる。さらに、器具内データを拡張するD4iはDALI-2の枠組みに準拠し、ドライバ―器具間で電力・寿命・資産情報などを運用できる。
物理層と配線要件
DALIは2線式の非極性バスを用い、名目電圧は約16 V、系統あたりの供給電流は最大約250 mAとされる。配線トポロジはデイジーチェーン、スター、ツリーなど自由度が高く、終端抵抗を要しない。伝送距離は導体断面や配線方式に依存するが、1.5 mm²で約300 mが慣用値である。DALI回路はSELVではないため、一次系からの安全絶縁やクラス分離、外来サージ対策を設計上考慮する。また、バス電源は冗長構成も可能だが総電流が上限を超えないよう整合させる。
アドレッシングとグルーピング
DALIは1系統あたり64台までの短アドレス(0〜63)を割当可能で、個別制御・グループ制御・ブロードキャスト制御を併用できる。グループは最大16、シーンは各デバイスに最大16記憶でき、改修時には配線を変更せずに論理再編が行える。初期設定ではアドレス自動割当(ランダムアドレス方式)が利用でき、保守交換時の現場作業を簡素化できる。
通信方式とコマンド
DALIの伝送速度は約1200 bpsで、マンチェスタ符号化を採用する。通信は半二重で、フォワードフレーム(制御装置→電子安定器等)とバックワードフレーム(応答)によって構成される。代表的コマンドには、照度出力を0〜254のアークパワーで指令するレベル設定、フェードタイム・フェードレートの設定、故障・ランプ寿命・温度過昇などの状態問い合わせがある。DALI-2では入力デバイス(スイッチ、センサー)のプロファイル化が進み、イベント通知の相互運用性が高い。
システム設計・実装上の留意点
- 電源設計:バス電源は安定化と電流制限を満たし、総デバイス数・同時動作を見込んで容量を計算する。
- EMCと保護:IEC 61000-4-2/4/5等に基づくESD・EFT・サージ耐性を評価し、長距離配線にはサージ保護素子や共模チョークを適用する。
- アイソレーション:一次側とDALI側の絶縁バリアを設け、漏れ電流とクリアランス/クリープ距離を規格・評価基準に適合させる。
- アドレス計画:用途別のグループ・シーン体系を初期段階で設計し、運用時のシナリオ変更に備えた命名・台帳管理を行う。
適用領域と拡張
DALIはオフィス、商業施設、病院、工場の一般照明・非常用照明に適用され、照度維持制御、昼光連動、在室検知、省エネスケジューリングなどの機能を実現する。ビル管理システムとはゲートウェイを介して連携し、上位のビルオートメーションからDALI群を論理的に編成・監視できる。DALI-2とD4iにより、センサー・スイッチ・電源ドライバが同一バスで相互運用し、器具内の資産データを用いた予防保全やエネルギー分析が可能となる。
用語整理
短アドレス:DALIデバイス固有の0〜63の識別子。グループ:最大16の論理集合で同時制御に用いる。シーン:事前記憶された出力状態の呼出し単位。バス電源:DALIバスへ約16 Vを供給する装置。D4i:DALI-2に準拠し器具内データを標準化する拡張仕様。フォワード/バックワード:指令と応答のフレーム区分。マンチェスタ符号:クロック回復を容易にする符号化方式。
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