BIS規制
BIS規制とは、国際決済銀行(Bank for International Settlements, BIS)が提唱する銀行の健全性を確保するための規制枠組みである。特に「自己資本比率規制」として知られ、銀行が保有するリスク資産に対して一定以上の自己資本を持つことを求めている。BIS規制は、金融システムの安定を図るため、銀行のリスク管理と資本の適切な積み増しを促進する役割を果たしている。この規制により、銀行が過度なリスクを取ることを防ぎ、経済危機や金融機関の破綻を防ぐための基準となっている。
自己資本比率とは
自己資本比率とは、銀行が持つ自己資本(純資産)をリスク資産に対する比率で表したものである。自己資本には、株主資本や利益剰余金などが含まれ、これにより銀行の健全性を評価する。BIS規制では、国際業務を行う銀行に対して最低8%の自己資本比率を求めており、この基準を満たすことが銀行経営の安定に不可欠であるとされる。
バーゼル規制とBIS規制
BIS規制は、バーゼル銀行監督委員会が定める規制の一部である。バーゼル規制は、バーゼルI、バーゼルII、バーゼルIIIといった形で段階的に進化し、金融リスクへの対応を強化してきた。特にバーゼルIIIでは、自己資本比率の強化に加え、流動性規制やレバレッジ比率規制などが導入され、リーマンショック後の金融危機に対応するための厳格な規制が加わった。
規制の対象となるリスク
BIS規制の対象となるリスクには、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクが含まれる。信用リスクは、融資先が債務不履行に陥るリスクを指し、市場リスクは金利や為替レート、株価の変動による損失リスクを指す。オペレーショナルリスクは、業務上のミスやシステム障害などによる損失リスクを指し、これらのリスクを総合的に評価して自己資本比率を算出する。
BIS規制の意義
BIS規制の意義は、金融システムの安定性を保つことにある。銀行が過度なリスクを取りすぎると、経済危機や金融機関の破綻を引き起こす可能性があるため、自己資本比率の管理は重要である。また、この規制は国際的な基準として広く採用されており、各国の銀行が同じ基準で健全性を評価されることで、公平な競争環境が維持される。