FIFA ワールドカップ 2026 ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ
ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ(Vanja Milinković-Savić、1997年2月20日生まれ)は、セルビア出身のプロサッカー選手であり、ゴールキーパーとしてセリエAのSSCナポリ、およびセルビア代表でプレーする。身長202cm・体重96kgという長身を活かした制空権制圧と、鋭い反応速度による至近距離シュートの阻止が持ち味である。FIFA ワールドカップ 2026においてセルビアは欧州予選グループKで3位に終わり本大会出場を逃したが、ヴァンヤはその予選期間を通じてセルビア代表の正守護神として起用された。2022年カタール大会では全3試合にフル出場しており、2026年大会への連続出場を目指した指名手配の正GKである。スペイン・ガリシア州オウレンセに生まれ、父はプロサッカー選手のニコラ・ミリンコヴィッチ、母はプロバスケットボール選手のミラナ・サヴィッチという完全なスポーツ一家に育った。兄のセルジェイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ(ミッドフィルダー、アル=ヒラール所属)も同じセルビア代表として活躍しており、兄弟そろって国際舞台で名を轟かせた。
プロフィールと身体的特徴
ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチは1997年2月20日、スペインのガリシア州オウレンセで誕生した。セルビア国籍を持つが出生地はスペインというバックグラウンドを持ち、ユーゴスラビア解体後の時代に欧州各地でプレーしていた父を追ってスペインに生まれた。身長202cm、体重96kgという規格外の体格はゴールキーパーとしても際立っており、ペナルティエリア内でのクロスボール対処やコーナーキックの制空権争いで絶対的な優位性を発揮する。右利きで、足元の技術も高く、ビルドアップへの参加やロングキックによる展開力はセルビア代表の戦術における重要な要素となっている。
スポーツ名家に生まれた兄弟選手
ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチの家族は、セルビアスポーツ界でも際立った存在である。父のニコラ・ミリンコヴィッチはセルビアの元プロサッカー選手であり、現役時代に欧州各国でプレーした。母のミラナ・サヴィッチはプロバスケットボール選手として活躍した人物である。兄のセルジェイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチは1995年生まれのミッドフィルダーで、ラツィオでの長いキャリアを経て現在はサウジアラビアのアル=ヒラールに所属し、セルビア代表の中核選手として知られる。ヴァンヤとセルジェイはFIFA ワールドカップの舞台でともにセルビア代表としてプレーした経験を持ち、「ミリンコヴィッチ=サヴィッチ兄弟」として欧州サッカーメディアでたびたび取り上げられる。
ヴォイヴォディナからマンチェスター・ユナイテッドへ
ヴァンヤは2014年4月にセルビアの強豪ヴォイヴォディナと最初のプロ契約を結んだ。その直後の同年5月、プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドがヴォイヴォディナとの間で移籍合意に至り、移籍金175万ユーロでの獲得が発表された。ただし、イギリスで就労許可が下りなかったため、ヴァンヤは翌シーズンもヴォイヴォディナへのローンとして残留し、2014-15シーズンに15試合フル出場というキャリアを積んだ。その後、許可取得の見通しが立たず2015年11月にユナイテッドから解放され、ポーランドのレヒア・グダンスクに移籍した。この苦境の時期が選手としての地道な成長を促すことになった。
トリノ、そしてナポリへ
2017年1月、セリエAのトリノFCがヴァンヤを完全移籍で獲得した。トリノ在籍初期は経験豊富なサルヴァトーレ・シリグの控えとしてカップ戦主体の出場にとどまったが、その後ローンを経て徐々に序列を上げ、2021年に契約延長を果たして正GKへと定着した。2025-26シーズンにはスクデット争いを演じるSSCナポリへ2500万ユーロ超(条件付き義務買取)の移籍が決まり、7月下旬よりローン契約でナポリの守護神として起用されることになった。2025-26シーズンのセリエAでは27試合に出場し、失点率0.89という高い数値を記録、FotMobの平均レーティング7.16という数字がその安定感を裏付ける。
セルビアユース代表:U-20ワールドカップ優勝
ヴァンヤはセルビアの各年代別代表を経てシニアへと成長した。U-17から出場を重ね、2015年にはニュージーランドで開催されたFIFA U-20ワールドカップにも選出された。この大会ではプレドラグ・ラコヴィッチの控えとして出場機会は得られなかったものの、セルビアはブラジルとの決勝を制して優勝を果たし、ヴァンヤはその栄光の一員となった。同大会では兄セルジェイがブロンズボールを受賞するなど、兄弟そろってセルビアサッカーの輝かしいページを刻んだ。この優勝経験はヴァンヤのキャリアにおける重要な勲章のひとつである。
シニア代表デビューとカタール・ワールドカップ
ヴァンヤのセルビアA代表デビューは2021年11月11日、カタールとの親善試合であった。翌2022年には2022 FIFAワールドカップのセルビア代表メンバーに選出され、グループステージ3試合すべてにフル出場した。ブラジル戦・カメルーン戦・スイス戦のいずれにも先発したが、チームはグループG最下位(1分2敗)で敗退した。しかしながらヴァンヤ個人としては全試合先発出場という事実がセルビア代表における不動の正GKとしての地位を確立した。UEFA EURO 2024にも選出されたが出場機会は得られず、チームはグループステージ最下位で敗退した。
2026年ワールドカップ予選:欧州グループKでの敗退
セルビアはFIFA ワールドカップ 2026の欧州予選においてグループKに振り分けられ、イングランド、アルバニアと出場権を争った。しかしイングランドとのウェンブリー戦で0-2と敗れ、同日アルバニアがアンドラに1-0で勝利したことで、セルビアは3位が確定し本大会への道が断たれた。グループを通じてイングランドに0-5の大敗を喫したほか、ホームでのアルバニア戦も0-1と落とすなど内容面でも低迷した。ヴァンヤは予選を通じて正GKとして起用され続けたが、ドラガン・ストイコビッチ監督は予選敗退後に辞任し、セルビアは3大会連続のワールドカップ出場という夢を果たせなかった。ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチは2026年の舞台には立てなかったが、ナポリでの充実したシーズンを経てキャリアの充実期を迎えており、次の代表サイクルでの巻き返しが期待される。
プレースタイルと特徴
ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチのゴールキーパーとしての強みは複数の側面にわたる。202cmの長身による制空権支配はセリエAでも随一であり、クロスボールに対する判断と果敢な飛び出しがペナルティエリアの安定に直結する。シュートへの反応速度も高く、特に至近距離からのシュートやリバウンドへの対応に定評がある。2025-26シーズンのセリエAではセーブ率72.5%を記録しており、失点量(GA90: 0.89)の低さはリーグ屈指である。また足元の技術があり、コパ・イタリアのカルピ戦ではフリーキックでクロスバーを直撃させたエピソードが示すように、フィールドプレーヤー的な技術も兼ね備えている。欧州の強豪国と対峙する代表での経験がクラブでの安定感に繋がり、守護神としての地位をさらに高めつつある。
主要タイトル
ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチがこれまでに獲得した主要タイトルは以下のとおりである。
- FIFA U-20ワールドカップ優勝(2015年・ニュージーランド)——セルビアU-20代表として参加、チームがブラジルを決勝で下し頂点に立った。
- セルビア国内カップ(クプ・スルビエ)優勝(2013-14シーズン)——ヴォイヴォディナ所属時代に獲得。
- スーペルコッパ・イタリアーナ(イタリア・スーパーカップ)優勝(2025-26シーズン)——ナポリの守護神として在籍初年度に達成した。
移籍履歴
ヴァンヤ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチの移籍歴は多くのクラブを経由した長いキャリアを反映している。ヴォイヴォディナ(セルビア)での出発後、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)、レヒア・グダンスク(ポーランド)を経てトリノFC(イタリア)に落ち着き、スタンダール・リエージュ(ベルギー)やSPAL・アスコリ(いずれもイタリア)へのローンを挟みながらトリノで正GKとして長期間活躍した。2025年夏、チャンピオンズリーグ出場クラブのSSCナポリへローン移籍(条件付き義務買取・21億ユーロ相当の複数年分割払い)が実現し、キャリア最大の挑戦が始まった。
| 所属クラブ | 期間 | 備考 |
|---|---|---|
| ヴォイヴォディナ | 2014–2015 | プロデビュー |
| マンチェスター・ユナイテッド | 2014–2015 | 就労許可取得できず出場機会なし |
| レヒア・グダンスク | 2016–2017 | エクストラクラサ(ポーランド1部) |
| トリノFC | 2017–2025 | 長期在籍・正GKへ定着 |
| SSCナポリ | 2025– | ローン+条件付き義務買取 |
2026年大会と「ミリンコヴィッチ=サヴィッチ兄弟」の不在
セルビアが2026年ワールドカップの出場権を逃したことは、ヴァンヤにとっても兄セルジェイにとっても痛恨の結末であった。2022年カタール大会でともに全グループステージの舞台に立った兄弟が、北中米の大舞台に姿を見せることはなかった。セルビアは欧州予選において、強豪イングランドに0-5という大差で敗れるなど実力差を露呈し、予選グループKの3位で終了した。ヴァンヤは2025-26シーズンのセリエAおよびチャンピオンズリーグでナポリの正守護神として安定したパフォーマンスを維持しており、クラブレベルでの成長は疑う余地がない。セルビア代表の再建が急務となるなか、29歳のヴァンヤがその中心軸となることは確実視されている。
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