FIFA ワールドカップ 2026 アンテ・ブディミル
アンテ・ブディミル(Ante Budimir、1991年7月22日生まれ)は、ボスニア・ヘルツェゴビナ・ゼニツァ出身のプロサッカー選手であり、スペイン・ラ・リーガのCAオサスナに所属するクロアチア代表フォワードである。188cmの長身と卓越したポジショニングを武器とするセンターフォワードで、ヘディングとボックス内での得点感覚に特出した能力を持つ。長らく無名に近い存在であったが、オサスナ加入後に覚醒し、30代に入ってからもキャリアハイを更新し続ける異色のストライカーである。FIFA ワールドカップ 2026には、クロアチア代表の主力センターフォワードとして選出されており、モドリッチ世代のラストダンスを最前線で支える存在として注目を集めている。
プロフィールと基本情報
アンテ・ブディミルは1991年7月22日、当時のユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)・ゼニツァに生まれた。クロアチア系の家庭に育ち、後にクロアチア国籍を取得してクロアチア代表として活動する。身長188cmの大柄なフィジカルを活かしたターゲットマン型のストライカーで、ポジションはセンターフォワード(CF)。利き足は右足であるが、ヘディングによる得点も多く、空中戦の勝率が非常に高い点が最大の特徴である。クラブでの背番号は17番を着用している。
キャリア前半:無名時代から欧州の舞台へ
LASKリンツ(オーストリア)やHNKゴリツァのユースを経て、2011年にNKインテル・ザプレシッチでプロデビューを果たした。2シーズンで18ゴールを記録すると、2013-14シーズンはNKロコモティヴァ・ザグレブへ移籍し17ゴールを決めた。この活躍が評価され2014年8月にドイツのFCザンクトパウリと4年契約を締結したが、2部リーグで無得点に終わり苦境に立たされる。転機となったのは2015年のイタリア・セリエBのFCクロトーネへのローン移籍で、16ゴールを挙げてクラブ史上初のセリエA昇格に貢献。一時はアーセナルFCが獲得に興味を示したとも報じられた。2016年にはUCサンプドリアと契約したが出場機会を得られず、翌年クロトーネに復帰してプレーを続けた。
マジョルカからオサスナへ:ラ・リーガでの定着
2019年1月にRCDマジョルカへローン移籍すると、残り期間で6ゴールを決め昇格プレーオフ決勝でも先制弾を記録。チームを久々のラ・リーガ復帰へと導き、完全移籍へと発展した。2020年10月にCAオサスナへローン移籍すると、2020-21シーズンにチーム得点王となる11ゴールを記録し高評価を獲得。2021年6月に2000万ユーロ(当時のクラブ史上最高額)で完全移籍が成立し、その後は不動のエースストライカーとして君臨している。2024-25シーズンにはラ・リーガで21ゴールを記録してキャリアハイを達成し、得点ランキング3位に輝いた。2025-26シーズンも開幕から好調を維持し、シーズン序盤にすでにラ・リーガの上位得点者として名前を連ねた。
プレースタイル:ボックス特化型センターフォワード
アンテ・ブディミルのプレースタイルは、ペナルティエリア内に特化した純粋なストライカー型である。ボールを足元で捌く技術よりも、前線でのポジショニングとボールの引き出し方、そしてフィニッシュの精度を強みとする。空中戦の勝率が高く、ヘディングシュートのコースの取り方が巧みで、クロスボールへの合わせ方においてはラ・リーガトップクラスと評される。2024-25シーズンにはxG(期待得点)17.8を上回る19ゴールを記録しており、得点効率の高さが数字にも表れている。また、ペナルティキックの獲得能力も高く、相手守備陣との身体的な競り合いでファウルを引き出す技術を持つ。
- 188cmの長身と強靭なフィジカルを活かした空中戦が最大の武器であり、ヘディングによる得点が多い
- ペナルティエリア内でのポジショニングが秀逸で、シュートチャンスを逃さない嗅覚を持つ
- xGを上回る得点力を持つ高効率なストライカーで、2024-25シーズンには17.8xGに対して19ゴールを記録
- PKの獲得能力も高く、相手との接触でファウルを引き出すことも得意とする
クロアチア代表でのキャリア
クロアチア代表には2020年頃から本格的に招集されるようになり、UEFA EURO 2020と2022年カタールワールドカップにも出場した。代表でのゴール数は多くないものの、クロアチアが珍しく持つことができた「ボックス内に専念できる純粋なセンターフォワード」として戦術的価値が高く評価されている。FIFA ワールドカップ 2026のクロアチア代表にも選出されており、クロアチアはグループLでイングランド・パナマ・ガーナと同組となった。ダリッチ監督の採用する4-2-3-1または4-3-3システムにおいて、ブディミルはアンドレイ・クラマリッチとともに最前線を担う中心的存在である。
ワールドカップ 2026でのブディミルの役割
クロアチアは2018年大会準優勝、2022年大会3位という成績を誇る強豪であるが、2026年大会はFIFAランキング11位の位置づけで臨む。40歳のルカ・モドリッチが引っ張る「黄金世代のラストダンス」と位置付けられており、アンテ・ブディミルはその最前線を支える役割を担う。クラブでのオサスナ在籍中に培ったラ・リーガでの得点感覚と、ボックス内の競り合いに慣れたフィジカルは、ワールドカップの舞台でも十分に通用すると見られている。特にイングランドのような屈強な守備陣を相手にした際、ブディミルの高さと身体的な強さは相手に対してプレッシャーをかけ続ける手段となる。クロアチア代表が誇るグループLの突破に向けて、彼の活躍はチームの命運を左右する鍵となる。
グループL:イングランド、パナマ、ガーナとの戦い
クロアチアが入ったグループLは、組み合わせ抽選においても「死の組」のひとつとして注目された。第1戦のイングランド戦は大会の行方を左右する注目の一戦であり、ここで勝ち点を確保できるかどうかがグループ突破の分水嶺となる。パナマとガーナは格上のクロアチアに対して守備的な戦術を採ってくることが予想されるが、その場合にもブディミルのポストプレーと空中戦の強さは数少ない崩しの手段として活きる。特にコーナーキックやクロスからの得点パターンはクロアチアの重要な得点源として機能すると見られており、身長188cmのブディミルはその核心的な役割を担う。
主要成績
アンテ・ブディミルのクラブキャリア通算成績は400試合以上に及び、公式戦で160ゴール以上を記録している。ラ・リーガにおけるオサスナでの成績は、5シーズンにわたって安定した得点を重ね続けてきた結果、クラブの現代史において最大の功労者と評されている。代表では国際Aマッチでの得点数こそ目立たないが、ゴールを量産するラ・リーガでの実績がクロアチア代表に「真のセンターフォワード」をもたらしたと評価されている。
| シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 |
|---|---|---|---|---|
| 2020-21 | オサスナ | ラ・リーガ | 30 | 11 |
| 2021-22 | オサスナ | ラ・リーガ | 28 | 8 |
| 2022-23 | オサスナ | ラ・リーガ | 31 | 8 |
| 2023-24 | オサスナ | ラ・リーガ | 33 | 17 |
| 2024-25 | オサスナ | ラ・リーガ | 38 | 21 |
| 2025-26 | オサスナ | ラ・リーガ | 25〜 | 13〜 |
遅咲きの得点王:30代でのブレイクアウト
アンテ・ブディミルの物語は、遅咲きの成功例として特筆に値する。20代の多くを複数クラブへのローン移籍や下位リーグでの格闘に費やし、ラ・リーガのトップストライカーとして定着したのは30代に入ってからである。2024-25シーズンに33歳でキャリアハイとなる21ゴールを記録し、ラ・リーガ得点ランキングで3位に入った事実は、年齢によるパフォーマンス低下を否定するものとして多くの注目を集めた。FIFA ワールドカップ 2026の開催時には34歳を迎えているが、充実したコンディションと経験を武器にクロアチア代表の主砲として大舞台に臨む。クロアチアのサッカーが誇る知性と組織力、そしてモドリッチら中盤の創造力を最前線で結実させる存在として、ブディミルへの期待は高まるばかりである。
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