未成年後見人|親権のない子を保護する制度

未成年後見人

未成年後見人とは、親権を行う者がいない、もしくは親権を行うことができない未成年者を保護・監護し、その財産管理や身分上の利益を守る役割を担う法的制度である。児童の健全な育成と権利保護を目的とし、家庭裁判所による選任を経て正式に職務を開始する。これにより、親権者が不在または親権を喪失している場合でも、子どもの生活基盤や財産の安全を確保し、適切な意思決定を行う仕組みが整えられている。

制度の背景

我が国では、子どもの保護と育成を最優先に考え、親権者が通常は監護権と財産管理権を行う仕組みが法的に確立されている。しかし、親が死亡する、あるいは親自身が未成年者を十分に監護する状況にないときには未成年後見人の制度によって子どもの利益を確保する必要がある。この制度は、古くは家制度のなかで親族が後見を引き受ける例が多かったが、近年は社会形態の変化にともない、裁判所による正式な選任と監督が欠かせない仕組みとして重要性を増している。

法的根拠

未成年後見人は民法に根拠をもつ制度であり、後見事務の範囲や選任手続き、監督機関の在り方などが規定されている。特に民法833条から862条にわたって詳細が定められ、誰が後見人になる資格を有するか、どのような場合に裁判所が職権で選任するかなどが明文化されている。さらに、家庭裁判所は後見人の就任後も定期的な報告や監査を行い、子どもの利益が最優先されているかをチェックする機能を果たしている。

職務と責任

未成年後見人の職務は大きく二つに分かれる。一つは子どもの身分行為についての法定代理であり、進学や医療行為に関する同意を与えるなど、子どもの生活に密接に関わる部分である。もう一つは財産管理であり、相続や贈与によって子どもが得た財産の保全と活用に責任を負う。これらの職務を適切に果たせなかった場合には、家庭裁判所が解任を検討するほか、子どもの権利侵害が生じれば損害賠償責任を負う可能性もあるため、専門的な知識と慎重な判断が求められる。

選任の手続き

未成年後見人を選任するには、利害関係人や検察官の申立てを契機として家庭裁判所が調査を行い、候補者の適格性を審理する。通常は親族や信頼のおける第三者が候補となるが、財産管理能力や人柄、生活環境などが総合的に判断される。裁判所は必要に応じて面接や書類審査を実施し、その結果に基づいて後見人を正式に選任する。後見人には任意後見契約のような制度も存在するが、未成年の場合は親権を代行する趣旨が強いため、裁判所の関与が不可欠であるといえる。

後見監督人との関係

家庭裁判所は必要に応じて未成年後見人の業務を監督する後見監督人を選ぶ場合がある。後見監督人は、定期的に報告を受けたり、財産目録を精査したりすることで、後見事務に不正や不備がないかをチェックする役割を担う。これにより子どもが不利益を被らないようにしつつ、後見人の責任感や職務遂行の妥当性を確保する仕組みが整えられる。特に高額な財産が絡むケースや親族間で意見対立がある場合など、後見監督人の存在が大きな意味をもつことが多い。

後見の終了

未成年後見人の職務は子どもが成年に達した時点、すなわち18歳(2022年4月以降の民法改正による成年年齢)を迎えたときに原則として終了する。そのほか子どもが養子縁組によって新たな親権者が決まる場合や、結婚によって成年擬制が生じる場合、あるいは後見人が解任または辞任した場合にも後見関係が終了となる。終了時には財産目録の最終報告などが求められ、後見中に管理していた財産や書類をきちんと引き継ぐことが義務づけられている。

課題と展望

強固な法制度が整備されている一方で、実務上は未成年後見人の担い手不足や専門家の報酬負担などの問題が指摘されている。子どもをめぐる状況が複雑化している現代社会において、養護施設や児童相談所など複数の機関と連携し、より専門的かつ包括的に子どもを支援する態勢が求められている。加えて、親権や後見に関する社会的理解が十分に浸透していない面もあり、広報活動や啓発を通じて制度の正しい利用方法を普及させることが今後の大きな課題といえる。