労働組合|労働者の権利守る代表

労働組合

労働組合は、賃金労働者が自らの労働条件や生活水準を守り改善することを目的として組織する団体である。資本と労働という利害の異なる主体が対立しうる近代の資本主義経済において、労働者側の集団的な交渉力を確保する役割を担ってきた。工業化とともに大量の労働者が工場や都市に集中すると、賃金の低さや長時間労働、安全対策の不備など多様な問題が噴出し、それに対処するために組織的な運動が形成されていった。

定義と目的

法的には、多くの国で労働者が自主的に結成し、使用者その他の団体と団体交渉を行うことを主な目的とする常設の団体と定義されることが多い。ここでいう労働組合の目的は、個々の労働者では交渉しにくい事項を集団で扱う点にある。賃金水準、労働時間、休暇制度、安全衛生、解雇・配置転換の基準などが交渉の主要な対象となり、合意内容を労働協約として文書化することで、処遇の透明性と安定性を高める。また、組合は社会保障制度や税制など社会全体の制度設計にも関わり、労働者の代表として政治的な意見表明を行うこともある。

歴史的展開

19世紀のイギリスでは、機械制工業の発展とともに多くの賃金労働者が工場に集中し、賃上げや労働時間短縮を求める運動が盛んになった。初期には団結を禁じる法制によって弾圧されたが、次第に制限が緩和され、合法的な労働組合の結成が認められるようになった。イギリスを中心に起こった産業化の波は、後にアメリカの産業革命ロシアの産業革命へと広がり、工業都市バーミンガムなどでも組合運動が展開された。

日本における展開

日本では、明治期の日本の産業革命により紡績業や鉱山業が発展し、長時間労働や低賃金をめぐる争議が各地で発生した。大正期には労働争議の経験を背景に本格的な労働組合の結成が進み、第一次世界大戦後の好況とインフレ、米騒動などを契機として都市への人口の都市集中が加速した。第二次世界大戦後は、労働三権を保障する法制度のもとで組合組織が拡大し、産業別組織やナショナルセンターが形成され、政治・社会に大きな影響力を持つようになった。

組織形態と種類

現実の労働組合は、産業構造や法制度によって多様な組織形態をとる。企業単位で組織される企業別組合、同一産業の労働者をまとめる産業別組合、職種ごとに組織する職能別組合などがその代表である。さらに複数の組合が結集した産業別連合会や全国レベルのナショナルセンターが形成され、賃金闘争や政策提言を調整する枠組みとなる。こうした多層的な構造により、職場レベルから国家レベルまで、さまざまな階層で労働者の利益代表が行われる仕組みが整えられてきた。

  • 企業別組合:同一企業の労働者で構成される組合
  • 産業別組合:同一産業に属する複数企業の労働者をまとめる組合
  • 一般労組:中小企業や非正規労働者などを地域単位で組織する組合

主な機能と活動

労働組合の中心的な役割は、使用者との団体交渉とその結果としての労働協約締結である。賃金や労働時間、福利厚生などの条件を交渉し、合意内容を文書化することで、恣意的な処遇を防ぎ、安定した雇用関係を実現しようとする。また、職場での安全衛生活動やハラスメント対策、教育・文化活動、組合員の相互扶助なども重要な機能である。さらに、社会保障制度や労働法制の整備をめぐって政党や行政と連携し、労働問題の改善をめざす社会運動の担い手ともなってきた。

  • 団体交渉と労働協約の締結
  • ストライキなど争議行為を通じた圧力行使
  • 職場環境の改善や安全衛生活動
  • 教育・文化活動や福利厚生事業
  • 政策提言や社会運動を通じた制度改革

法的地位と社会的役割

現代の多くの国では、憲法や労働関係法が団結権・団体交渉権・団体行動権を保護し、労働組合に一定の法的地位を与えている。これにより、組合活動を理由とする解雇や不利益取り扱いは違法とされ、組合費の徴収や職場での活動が一定程度認められている。他方で、公共サービスや安全保障に関わる部門ではストライキ権が制限されるなど、権利保障と社会的利害の調整が求められる。組合は、企業内の利害調整にとどまらず、資本主義体制の確立と社会問題という歴史的文脈の中で、格差是正や社会的公正の実現をめざす中間団体として位置づけられてきた。

現代の課題

近年、多くの国で労働組合組織率の低下が問題となっている。サービス業や非正規雇用の拡大、グローバル競争の激化、企業のアウトソーシングなどにより、伝統的な大企業・正社員中心の組織モデルではカバーしきれない労働者が増えているためである。また、労働者の価値観の多様化や職場の流動化により、若年層が組合活動に魅力を感じにくい状況も指摘される。その一方で、格差拡大やワーキングプア、高度プロフェッショナル制度など新たな働き方をめぐる問題が顕在化しており、労働組合はこれらにどう対応し、どのような組織形態や運動の在り方を模索するのかが問われている。