共産党
共産党は、共産主義の実現を目標とする政党であり、資本主義社会を打倒して無階級社会をめざすと位置づけられる。19世紀のマルクスやエンゲルスの理論に基づき、20世紀には革命運動と結びついて各国で共産党が結成され、労働者階級・農民など被抑圧層の代表を自任した。名称や具体的綱領は国ごとに異なるが、多くの場合、前衛党論と民主集中制を採用し、国家権力の掌握と社会主義建設を目指す点に共通性がある。
理念と用語
共産党が掲げる基本理念は、私有財産と階級支配を廃止し、生産手段を社会的に共有することである。ここでいう社会主義は、資本主義から完全な共産社会へ至る移行期の体制とされ、国家が計画的に経済と社会を管理する役割を担うと考えられた。多くの共産党は、マルクス主義を理論的基礎としつつ、各国の条件に応じて独自の解釈や戦略を展開した。
歴史的起源
19世紀ヨーロッパでは、産業革命の進展とともに労働者運動が高揚し、これが国際的な労働者組織や社会主義政党の形成につながった。1917年のロシア革命でボリシェヴィキ独裁が成立すると、その指導部は世界革命を訴え、各国に共産党の結成を呼びかけた。革命後に開催された全ロシア=ソヴィエト会議は、労働者・兵士・農民の代表からなる会議体として新政権の権威づけに用いられた。こうして第3インターナショナル(コミンテルン)のもとで、各国の共産党は国際的なネットワークを形成し、革命運動の前衛と位置づけられた。
ソ連と中国の共産党
ロシアでは、のちにソ連共産党と呼ばれる政党が国家の支配政党となり、計画経済や一党制を通じて社会主義建設を進めた。ソ連の経験は世界の共産党に大きな影響を与え、支持と批判の両方の対象となった。また中国では、中国共産党が長期の内戦と抗日戦争を経て政権を掌握し、農村を基盤とする革命や大規模な社会改革を展開した。これらの事例は、ソヴィエト=ロシアやアジアの革命運動を理解するうえで重要である。
組織原理と活動
共産党の多くは、党内での自由な討論と決定後の統一行動を求める民主集中制を組織原理として掲げた。党は「前衛」として労働者階級を理論的に導き、労働組合、青年団、婦人団体などを通じて大衆運動を組織したとされる。一方で、厳格な党規律や中央集権的な意思決定は、党内民主主義の制約や異論排除につながるとの批判も生んだ。こうした特徴は、プロレタリア独裁やソヴィエト政権と戦時共産主義といった概念とも深く関わっている。
冷戦期と議会主義
第二次世界大戦後、東欧やアジアの一部では共産党が政権党となり、社会主義国家体制を築いた。他方、西欧や日本などでは、議会制民主主義の枠内で選挙に参加する共産党が登場し、福祉国家政策や平和運動を通じて一定の影響力を持った。冷戦構造のなかで、各国の共産党はソ連路線への追随か独自路線の追求かをめぐって路線対立を経験し、党内分裂や名称変更に至った例も多い。
評価と今日的意義
共産党は、社会的不平等の是正や植民地支配からの解放運動に貢献したと評価される一方、一党独裁体制のもとで政治的自由を制限し、強制収容所や粛清などの抑圧を生み出したとの批判も根強い。20世紀末の東欧革命とソ連崩壊により、多くの共産党は変容や衰退を経験したが、資本主義の格差拡大に対する批判の文脈では、なお一定の支持や関心を集めている。歴史研究においては、ソヴィエト=ロシアや共産主義思想との関係、そして各国史における役割を総合的に検討することが求められている。