乖離率
乖離率とは、現在の価格が基準値からどの程度離れているかを割合で示す指標である。金融市場では、基準値に移動平均線を用いることが多く、株価や為替などの価格が平均から上方または下方へどれだけ乖離しているかを可視化する。価格は常に変動するため、平均からの距離を把握することで、短期的な過熱感や戻りの余地、トレンドの勢いといった状態判断に利用される。
計算方法と基本構造
乖離率は、基準値を何に置くかで意味合いが定まる。市場で一般的な算出は「価格」と「移動平均」の差を、移動平均で割って百分率に直す形である。符号が正なら平均より上、負なら平均より下に位置する。基準に終値を採るか、別の代表値を採るかでも解釈が変わるため、指標名だけでなく算出条件を揃えることが重要である。

例えば、現在の価格が1000円で、移動平均価格が950円であれば、乖離率は以下のようになる:

読み方の要点
乖離率は、値の大きさがそのまま「平均からの距離」を表すため直感的である。上方乖離が拡大している局面は、上昇の勢いが強い一方で、平均へ戻る動きが生じた際の値幅も大きくなりやすい。下方乖離が拡大している局面も同様に、下落圧力の強さと反転時の振れを同時に意識する必要がある。実務では、単独で断定せず、出来高やローソク足の形状など複数の情報と併用して状態を捉える。
活用される場面
乖離率は、平均回帰的な動きが出やすい局面では「行き過ぎ」を点検する道具として機能する。また、トレンドが明確な局面では「勢いの継続」を確認する材料にもなる。売買判断に用いる場合は、現在の相場がトレンド局面なのか、レンジ局面なのかを先に識別し、指標の役割を決めてから使うことが実務的である。たとえば、トレンド判定と組み合わせて、押し目や戻りの深さを測る目的で参照される。
- 過熱感の把握: 上方・下方への偏りを数値で確認する
- 押し目・戻りの把握: 平均からの距離が縮む局面を観察する
- リスク管理: 逆方向への振れ幅を想定し、許容損失を調整する
期間設定と数値の扱い
乖離率の性質は、基準にする移動平均の期間で変化する。短期の平均は価格に追随しやすく、乖離率は頻繁に上下しやすい。中長期の平均は変化が緩やかで、乖離率は相場の大きな偏りを捉えやすい。どの期間を採るかは、対象資産の値動きの癖、売買の想定期間、取引コストの影響などに合わせて整合させる必要がある。実務では、同一の期間で継続観測し、分布や極端値の出方を把握してから運用することが多い。
統計的な見方
乖離率は割合であるため、銘柄や通貨ペアが異なっても比較的扱いやすい反面、ボラティリティが高い資産では極端値が出やすい。過去データにおける平均、標準偏差、分位点などを確認し、通常域と例外域を切り分けると、数値の解釈が安定する。こうした検討は、ボラティリティの理解とも結び付く。
注意点と誤用リスク
乖離率は「乖離が大きいから反転する」といった単純な決めつけに弱い。強いトレンドでは乖離が大きい状態が継続することがあり、逆張りの根拠としてのみ用いると損失が拡大し得る。また、材料発表や急変動では平均そのものが追いつかず、乖離率が一時的に極端化する。流動性が低い銘柄では、値が飛びやすく指標が歪むこともある。さらに、株式では分割・併合など価格系列の連続性に影響するイベントがあり、基準値の整合を確認しないと誤読につながる。
関連指標との併用
乖離率は価格と平均の距離を示すが、相場の勢いを別角度から測る指標と組み合わせると判断材料が増える。たとえば、RSIは上昇・下落の比率から過熱を見やすく、MACDは平均の収束・拡散からモメンタムの変化を捉えやすい。これらを並行して観察し、価格水準・勢い・参加者の厚みを総合して、乖離率の数値が示す意味を相場環境に沿って位置付けることが実務上の要点である。