ラティフンディア|ローマ帝国を支えた奴隷に基づく大土地経営

ラティフンディア

ラティフンディア(別名:ラティランディウム)は、奴隷使用に基づく大土地経営である。貴族や上層平民が、征服活動で広がった公有地を私有地化したり、農民から土地を買い占めて大土地所有者となり、奴隷を酷使して、主にブドウ・オリーヴなどの果樹栽培を行った。

目次

ラティフンディア(大土地経営)

征服戦争によって増大した国有地は、リキニウス法を無視した地主・貴族によって独占されることとなる。征服戦争によって流入した多数の捕虜奴隷を使い、牧畜経営やオリーブ・ぶどうなどの果樹栽培を主とする大土地経営を始め、巨大な富を築いた。ポエニ戦争特に、第2回ポエニ戦争以降急速に発達した。

貿易国家

ラティフンディア(大土地経営)の出現は、ローマ帝国を農業国家から貿易国家へと変質させた。生産品・加工品はイタリア諸都市および海外に輸出され、シチリアなどの海外属州からは安価な穀物が輸入された。

貧富の差の拡大

奴隷を駆使した大土地経営は、中小土地所有農民(自由小農民)の経営を圧迫してその没落を早めた。また貧窮した中小土地所有農民の土地は大土地所有者に兼併され、貧富の差は拡大の一途をたどった。ローマ帝国の奴隷制

中小農民

中小農民の没落は、戦費を自費でまかない、長期間の従軍、戦争による耕地の荒廃、戦後の属州からの安価な穀物の流入、ラティフンディアの発展により、中小農民の生活は貧窮していく。無産市民と呼ばれるようになる。

無産市民

無産市民となった多くの農民はローマに流入し、「パンとサーカス」と称される遊民と化した。選挙権を有する彼らは、略奪を伴う戦争を望み、野心家の私兵と化した。

パンとサーカス

パンとサーカスは、ローマの為政者や貴族が無産市民に与えたもので、支配に利用した。風刺詩人ユウェナリスの言葉で、穀物や円形闘技場などで行われる競技などのことを揶揄した。

奴隷の反乱

奴隷を酷使した大土地経営は社会不安を蓄積した。特にスパルタクスが率いる奴隷の反乱(前73?~前71)は、ローマを危機に陥れるほどの大規模な問題となり、次第に見直されるようになっていた。

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