マルタ島
マルタ島はイタリア南方の地中海に位置する島国マルタ共和国を構成する主要な島であり、歴史と文化が凝縮された観光地として世界中から注目を集めている。フェニキア人やカルタゴ、古代ローマの支配を経て、騎士団時代には要塞化が進み、地政学的に重要な拠点として成長してきた。近現代にはイギリスの影響を受けたことで英語が公用語の一つとなり、留学や語学学校を目的とする訪問者も多い。首都バレッタや古都ムディーナに残る壮麗な建築物は、豊かな歴史を物語る貴重な遺産である。
地理と気候
マルタ島はシチリア島からおよそ90km南に位置し、比較的温暖な地中海性気候に恵まれている。面積は約246平方キロメートルと小規模で、北西部から南東部にかけて低い丘陵が連なるほか、入り組んだ海岸線や天然の良港が点在する。夏は乾燥し、冬は穏やかで、年間を通じて日照時間が長いことから、観光客は多彩なアクティビティを楽しむことができる。
古代から中世の歴史
マルタ島は先史時代から人類が居住していた痕跡があり、世界最古のフリースタンディング建築とされる巨石神殿(ハジャー・イムやジガンティーヤなど)が存在する。その後フェニキア人、カルタゴ、古代ローマなど複数の勢力が統治する拠点となり、地中海交易路の要衝として地政学的に重要視された。中世にはアラブ支配を経てノルマン王朝やアラゴン王国の影響下に入り、町の基盤が徐々に整備されていった。
聖ヨハネ騎士団と要塞都市
16世紀半ば、神聖ローマ帝国の要請を受けた聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)がマルタ島を与えられると、対オスマン帝国防衛の最前線として要塞化が進められた。1565年のグレート・シージ(大包囲戦)では、騎士団の勇戦によってオスマン軍の侵攻が阻止され、その後新たに築いた首都バレッタには堅固な城壁と壮麗な建築物が並ぶ。こうした騎士団時代の遺産は、ヨーロッパとイスラーム世界の境界線であった地中海史を伝える貴重な文化財として評価され、ユネスコ世界遺産にも登録されている。
近現代の歩み
- ナポレオン時代、フランス軍による短期間の占領
- その後イギリス領となり、第二次世界大戦では激しい空襲を受ける
- 1964年の独立、1974年共和制移行後、EUへの加盟を実現
文化・言語・宗教
公用語はマルタ語と英語の2言語で、イタリア語も広く通じる。マルタ語はアラビア語をルーツとしながらも、ラテン語やイタリア語、英語など周辺地域の影響を大きく受けた特徴的な言語である。宗教はカトリックが圧倒的に多く、大聖堂や教会行事が島の文化を彩っている。フェスティバルやパレードが毎年開かれ、そこでは伝統的な衣装や音楽、花火大会などが地元住民と観光客を魅了する。
観光スポットとアクティビティ
人気の観光地は首都バレッタ、旧都ムディーナ、青い洞門と呼ばれる美しい海岸景勝地、巨石神殿群など多岐にわたる。また、隣接するゴゾ島やコミノ島も日帰り旅行先として注目され、透明度の高い海でシュノーケリングやダイビングを楽しむことができる。島全体がコンパクトなため、バスや観光バスツアーを利用すれば短い日程でも主要観光地を回りやすい。語学留学先としても人気があり、リゾート気分を味わいながら英語を学べる点が評価を受けている。
グルメと伝統料理
地中海料理をベースに、イタリアや北アフリカの影響を受けた風味豊かな料理が多い。代表的なメニューとして、ウサギのシチュー(ストゥファット・タル=フェネック)やパスティッツィ(ペイストリーの一種)、地元産のシーフードを活かしたパスタやスープなどが挙げられる。また、マルタ産ワインやカンタウ(Kinnie)と呼ばれるハーブ風味のソフトドリンクなど、珍しいローカルドリンクも試してみたいところだ。
交通とアクセス
マルタ島へのアクセスは、主要都市とを結ぶ空路が一般的で、マルタ国際空港(MLA)が玄関口となっている。イタリアやシチリア島などからフェリーも就航しており、島々間を行き来する手段が確立している。島内の移動には路線バスやタクシーが利用可能だが、中心部は歩いて回れるほどコンパクトであり、旧市街の細い路地を散策するのも醍醐味である。