ブレース構造
ブレース構造とは、建築物の耐震性や耐風性を高めるために、骨組みに斜め材を組み込んで補強する構法である。一般的には鉄骨造や鉄筋コンクリート造など、多様な構造形式で採用されており、地震や強風に対して効率的に剛性や安定性を向上させる手法として広く用いられてきた。斜め材による補強が加わることで、建物が受ける水平力を効果的に分散し、柱や梁にかかる負担を軽減できる点が大きな特徴といえる。
ブレース構造の概要
近年の建築物では、高層化や大空間化が進む一方で、地震や台風などの自然災害に対する安全性が強く求められている。そこで採用されるブレース構造は、骨組みの各方向に斜材を挿入し、水平力に対抗するシステムを形成する方式である。ブレース材には鋼材や鋼管などが用いられ、建物全体の変形を抑制することができる。これにより、過度な揺れや傾きを防ぎ、居住者や設備を守る役割を担う。
JPMorgan Chaseの新本社ビルが、写真で伝わらないほどに力強くて、かっこよすぎた。
アイコニックな鉄骨(おそらく)のブレース構造が、クラシックな雰囲気でありながら、とても先鋭的に感じる。下層部の良い写真が残ってないのが悔い。 pic.twitter.com/ua3gqEUBBn— R.ENDO (@rendo_explored) April 7, 2025
歴史的背景と発展
ブレース構造の原型は、古くから木造建築でも見られる筋かいや貫の仕組みに由来するといえる。近代的な鉄骨造が普及し始めると、斜材を金属で一体化した構法が開発され、高層ビルや大規模施設に応用が広がった。日本では幾度もの大地震を経験する中で構造設計技術が進化し、鉄骨ブレースやダンパーブレースなど、多様な形式が登場した。耐震基準の改訂や研究の蓄積により、設計の自由度が高まりつつも、強度と経済性を両立する方法が模索されている。
水平ブレース入れるくらい心配性の構造屋さんだけど
ターンバックルを締める施工者の苦労は頭に無かった少しだけ残念な納まりの例#構造マニアック写真選手権2024 pic.twitter.com/NA6GvxuMNA— よっさん。 (@masakunyoshi021) November 13, 2024
力学的な特徴
ブレース構造は、建物に作用する水平力を斜材が直接負担することにより、柱や梁の断面を小さく抑えつつ高い剛性を得られる点が魅力である。ブレースの配置によっては、負担する荷重経路が明確化し、建物全体の挙動を比較的予測しやすいという利点がある。一方、ブレースが座屈するリスクや接合部の溶接・ボルト締結部で応力集中が生じる懸念もあり、適切な設計・施工管理が求められる。
構造の実務でよく使う力学公式
壁のせん断剛性、柱の軸剛性、壁のブレース置換です。 pic.twitter.com/v2zJudSY8q
— 建築構造屋さん (@kuuta2014) July 7, 2024
種類と形式
一般的なブレース構造として、X型やV型、逆V型、K型といった配置パターンが知られている。また鋼材の断面形状によってもH形鋼や角形鋼管など、複数のタイプがあり、設計者は建物の用途や規模、意匠性を踏まえて適切な組み合わせを選定する。ダンパーを併用した制振ブレースでは、地震時の衝撃をエネルギー吸収装置が緩和し、揺れを大幅に低減できる点が注目を集めている。
メリットとデメリット
ブレース構造のメリットとしては、単純化された力の伝達経路や高い耐震性能、比較的容易な施工性などが挙げられる。一方で、ブレース材が室内空間を占有するため、窓や扉の位置に制限が生じるケースや、意匠面での自由度が下がる場合がある。また、ブレース材が配置された箇所に大きな力が集中するため、接合部の剛性確保や腐食・疲労対策など、メンテナンス上の課題にも気を配る必要がある。
病院のカーテンレールの支持構造、
XY方向ともブレース構造になっていた???? pic.twitter.com/KWbvNPbptE— 建築構造屋さん (@kuuta2014) September 10, 2024
設計のポイント
設計段階でブレース構造を選択する際には、まず地震や風荷重などの外力に対する安全性を最優先に検討する。ブレース材の断面・長さ・配置パターンを決定するうえで、建物の剛性バランスや偏心を極力少なくするよう意識することが重要である。さらに、火災時の耐火性能や意匠面での調和を図りつつ、施工の段取りや現場環境を想定した詳細な計画が求められる。
耐震鉄骨ブレース材、組立完了しました。本日も、ご安全に!#てつのだいく #鉄骨 #耐震 pic.twitter.com/9IBhBrIQj9
— てつのだいく (@ikeda_iron) January 15, 2024
施工と品質管理
鋼材やボルト・溶接などを扱うブレース構造の施工は、精度管理が厳しく求められる領域である。計画的な工程管理と、現場での寸法確認や溶接検査を入念に行い、接合部に欠陥がないようチェックすることが不可欠となる。特に地震多発地域では、わずかな施工不良が建物全体の安全性に直結する恐れがあるため、構造設計者・施工業者・監理者が密に連携する体制づくりが大切である。
【本日の柱脚】〜フランス編〜
ブレース、柱脚、接合部……ぜんぶ造形が美しい。もしかしてこれ、構造ごとデザインしてる?
いや、してるよね?さすがフランス…。
耐力と美意識の両立ってこういうことか…。
日本だったら施工図で揉めて終わるやつ。momotaros1983 さん、勝手に参加してすみません!… pic.twitter.com/i4kpf7FVZc
— SGDAYS???????? (@struct_sg) May 26, 2025