アメリカ大陸|征服と交流が交差する大陸

アメリカ大陸

アメリカ大陸は、西半球の大部分を占める広大な陸地であり、北アメリカと南アメリカ、さらに両者をつなぐ中央アメリカおよびカリブ海地域から構成される。北は北極圏から南は南極海近くまで南北に細長く伸び、気候や自然環境、歴史や文化においてきわめて多様な特徴を示してきた。この地域は先住民社会の独自の発展と、ヨーロッパ勢力の到来による大きな変容を経験し、今日では世界経済と国際政治において重要な地位を占める地域となっている。

位置と範囲

アメリカ大陸は、大西洋と太平洋にはさまれた陸塊であり、北東端はグリーンランド、西北端はベーリング海峡付近に達する。一般に、メキシコ以北を北アメリカ、パナマ地峡以南を南アメリカと呼び、その中間を中央アメリカとする区分が用いられる。カリブ海の島々はしばしばラテンアメリカ世界の一部として理解され、とくに南米東岸に位置するブラジルやアマゾニア地域との歴史的・経済的結びつきも強い。

自然環境と地形

アメリカ大陸は、ロッキー山脈からアンデス山脈に連なる長大な山系、五大湖や大平原、アマゾン低地など多様な地形をもつ。とくに南米を流れるアマゾン川流域は、世界最大級の熱帯雨林をはぐくみ、地球規模の気候や生物多様性に大きな影響を与えてきた。一方で北部にはツンドラや亜寒帯林が広がり、中緯度地域にはステップ・温帯林・砂漠などが分布するため、氷雪から熱帯雨林までほぼあらゆる気候帯が存在することが特徴である。

先住民社会の成立と文明

アメリカ大陸には、旧世界とは異なる独自の文明が形成された。先史時代にベーリング海峡付近から移動してきた人々は、狩猟採集生活から農耕へと移行し、やがてメソアメリカのマヤやアステカ、アンデス高地のインカに代表される高度な文明を築き上げた。これらの社会は、トウモロコシやジャガイモなど独特の作物を基盤とし、ピラミッド状の神殿や道路網などを発達させた。北アメリカでも、多様な先住民社会が森林地帯や大平原、太平洋岸などの環境に適応し、それぞれ固有の文化を形成していた。

大航海時代とヨーロッパ勢力の進出

15世紀末、ポルトガルがセウタ攻略やアフリカ西岸探検を進める中で、大西洋航路の知識が蓄積され、1490年代にはコロンブスの航海によってアメリカ大陸がヨーロッパ人の世界認識に組み込まれた。のちにアメリゴ=ヴェスプッチらの探検報告により、この地がアジアとは別個の大陸であることが意識されるようになる。スペインは中南米に広大な植民地帝国を築き、ポルトガルもブラジルを支配した。征服と同時に、旧大陸由来の伝染病や強制労働制度が導入され、多くの先住民社会が急速な人口減少と社会変容に直面した。

独立と国家形成

18世紀後半から19世紀にかけて、アメリカ大陸ではヨーロッパ本国からの独立運動が連鎖的に展開した。北アメリカではイギリス植民地が独立してアメリカ合衆国を形成し、その政治体制は近代的な共和政や資本主義の発展と結びついた。南アメリカでも、シモン=ボリバルらの指導のもとスペイン支配からの解放が進み、各地に新たな共和国が誕生した。これらの新国家は、旧宗主国の重商主義体制から脱却しつつも、原料供給地として世界市場に組み込まれていき、やがてヨーロッパの産業革命とも密接に連動することになる。

現代のアメリカ大陸とその位置づけ

現代のアメリカ大陸は、北米の工業化地域から南米の資源・農業地域まで、経済構造や社会問題が多様である一方、全体として世界経済の重要な一角を占めている。北米では高度な工業・サービス産業が発展し、都市への人口集中や巨大都市圏の形成が進んだ。中南米諸国では、植民地以来の土地所有構造や格差の問題が続きつつも、民主化や地域統合の試みが展開されている。こうした歴史的背景から、世界史におけるアメリカ大陸は、先住民文明とヨーロッパ勢力の交錯、旧植民地社会から現代国家への転換を読み解くうえで欠かせない舞台となっている。