騰落株線
騰落株線(Advance-Decline Line、ADライン)は、株式市場全体の方向性を把握するためのテクニカル指標の一つであり、一定期間内に値上がりした銘柄数と値下がりした銘柄数の差を累積して算出する。この指標は、株価指数だけでは見えにくい市場全体の動向をより広範に捉えるために使用され、特に市場の強気や弱気のトレンドを判断する際に役立つ。株価指数が上昇していても、値上がり銘柄数が減少している場合、市場全体の強さに疑問が生じることがある。
騰落株線の計算方法
騰落株線は、日々の値上がり銘柄数から値下がり銘柄数を引き、その結果を累積していくことで算出される。具体的には、毎日の「値上がり銘柄数 − 値下がり銘柄数」の差分を足していき、その結果が累積された値が騰落株線となる。この値が上昇し続けている場合、市場全体の強さを示し、下落している場合は市場全体の弱さを示す。市場全体の流れを捉えるために、株価指数と併用して分析されることが多い。
騰落株線の意義
騰落株線は、特に市場全体の健康状態を評価するために有用である。株価指数だけでは、一部の大型銘柄の動きが市場全体を牽引していることがあり、実際には市場の多くの銘柄が下落している場合もある。騰落株線は、値上がり銘柄と値下がり銘柄のバランスを見ることで、指数の背後にある全体的な市場の動きを確認できる。このため、指数と騰落株線が逆行する場合、相場の転換点が近いと判断されることがある。
強気と弱気のサイン
騰落株線が上昇している場合、値上がり銘柄が多く、市場全体に強気のサインが出ていることを示す。一方、騰落株線が下落している場合、値下がり銘柄が増加しており、弱気のサインとされる。また、株価指数が上昇しているにもかかわらず騰落株線が下降している場合、市場全体の力が低下している兆候と解釈される。このような「ダイバージェンス」は、トレンドの転換点を予測する際の重要な指標となる。
騰落株線と株価指数の関係
騰落株線は、株価指数との比較によって特に有効に機能する。例えば、日経平均株価やS&P500などの主要な株価指数が上昇しているにもかかわらず、騰落株線が下降している場合、これは大型株が市場を引っ張っている一方で、多くの銘柄が値下がりしている可能性を示唆する。この状況は、上昇トレンドが持続しないリスクを示し、投資家に警戒を促すサインとなり得る。
騰落株線の活用方法
騰落株線は、市場の全体的な動きを把握するための指標として、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析と組み合わせて使用されることが多い。特に、市場のトレンドの継続性や転換点を確認する際に有効である。トレンドフォロー型の戦略を取る際には、騰落株線が株価指数と同じ方向に動いているかどうかを確認することで、トレンドの信頼性を評価することができる。