評価損
評価損(ひょうかそん)とは、保有する資産や証券の市場価値が購入時よりも下落したことにより、帳簿上で発生する損失を指す。評価損は、売却などの取引を実際に行って確定した損失ではなく、資産の市場価値の変動に基づいて帳簿上で認識される減価である。企業や個人が保有する株式、不動産、債券などの資産の価値が下落した場合に発生し、決算時に財務諸表に反映される。
評価損の仕組み
評価損は、資産の時価と取得時の価格との差額を基に計算される。例えば、企業が100万円で株式を購入した場合、その株式の時価が80万円に下落した場合、評価損は20万円となる。この損失は、実際に株式を売却して確定した損失ではなく、あくまで帳簿上での損失となる。
評価損の種類
評価損には、以下のような種類がある:
- 有価証券の評価損:株式や債券などの有価証券の市場価値が下落した際に発生する評価損。
- 不動産の評価損:保有する土地や建物などの不動産の市場価値が下落した場合に発生する評価損。
- 為替の変動による評価損:外国通貨建ての資産が、為替レートの変動により価値が下落した場合に発生する評価損。
評価損の会計処理
評価損は、企業の財務諸表において「評価損益」として計上される。評価損は、損失として計上されるため、企業の利益を圧縮する要因となる。特に決算期末において、資産の時価が取得価格を下回る場合、その差額は評価損として処理される。これにより、企業の純資産や利益に影響を与えることがある。
評価損の影響
評価損は、以下のような影響をもたらす:
- 財務状況への影響:評価損が発生すると、企業の財務諸表上の利益が減少し、純資産が減少するため、財務状況が悪化する可能性がある。
- 税務への影響:評価損が損失として計上されることで、課税所得が減少し、企業の税負担が軽減される場合がある。
- 投資家への影響:企業が評価損を計上すると、投資家はその企業の財務状況が悪化したと認識し、株価に影響を与える可能性がある。
評価損と評価益の違い
評価損とは反対に、資産の時価が取得時よりも上昇した場合に発生するのが「評価益」である。評価益は、帳簿上で資産の価値が上昇したことによる利益であり、売却していない場合でも帳簿上で計上される。評価損が損失として計上されるのに対し、評価益は利益として計上され、財務諸表にプラスの影響を与える。
評価損のリスク管理
企業や個人が保有する資産の価格変動による評価損を避けるため、適切なリスク管理が求められる。特に、株式や債券などの金融資産を保有する場合、分散投資やヘッジ戦略を取ることで、評価損のリスクを軽減することができる。