裸利回り|債券のクーポン利息に基づいた単純な利回り

裸利回り

裸利回り(はだかりまわり)とは、債券の投資収益率を評価する際に、クーポン(金利)による利息だけを基に算出された利回りのことである。これは、債券の発行価格や償還価格の差を考慮せず、単純に年間のクーポン利息を債券の購入価格で割って計算される。したがって、裸利回りは債券の表面的な収益力を示す指標であり、債券投資の利息収入に焦点を当てた評価方法である。

裸利回りの計算方法

裸利回りの計算式は以下の通りである: 「裸利回り = (年間クーポン金利 ÷ 債券の購入価格)× 100」 例えば、額面100万円、年利5%の債券を100万円で購入した場合、裸利回りは5%となる。この計算では、購入時点での価格と年間の利息のみが考慮され、償還時の価格や発行価格との関係は無視される。

裸利回りの特徴

裸利回りは、債券投資における年間の利息収入にのみ焦点を当てているため、実際の投資収益を正確に反映するものではない。特に、債券の購入価格が額面を上回る(プレミアム価格)か下回る(ディスカウント価格)かによって、実際の総合的な利回りは異なる可能性がある。そのため、裸利回りは投資家が債券のクーポン収入を評価する際の単純な指標として用いられることが多い。

裸利回りと他の利回りの違い

裸利回りは、クーポン利息のみを基に計算されるが、債券投資における他の利回り計算には「最終利回り」や「実質利回り」がある。最終利回りは、クーポン利息だけでなく、債券の償還価格や発行価格、保有期間中の価格変動を考慮した利回りであり、総合的な収益率を示す。実質利回りは、インフレ率を考慮した実際の購買力ベースでの利回りを示す。これらの利回りは、裸利回りよりも包括的な投資収益を反映する。

最終利回りとの比較

最終利回りは、債券のクーポン利息だけでなく、購入価格と償還価格の差や、保有期間全体での収益を考慮したものだ。例えば、額面100万円の債券を90万円で購入し、満期に100万円で償還される場合、クーポンに加えて償還差益も考慮されるため、最終利回りは裸利回りよりも高くなる。逆に、額面以上の価格で購入した場合は、最終利回りが裸利回りを下回ることもある。

裸利回りの使い方

裸利回りは、主に債券投資家がクーポン利息を基準に債券の選択を行う際に利用される。特に、債券市場において価格が大きく変動しない場合や、償還までの期間が短い場合は、裸利回りが簡便な指標として使われることが多い。また、特定の債券のクーポン利率に対する即時的な評価を行う際にも、裸利回りが参考になる。

裸利回りの限界

裸利回りにはいくつかの限界がある。まず、債券の価格変動や償還時の差益・差損を無視しているため、投資全体のリターンを正確に評価できない。また、インフレ率や金利の変動も考慮されないため、将来的な実質利回りを把握するのには不十分である。これにより、特に長期の債券投資においては、裸利回りだけでなく、最終利回りや実質利回りも併せて評価する必要がある。

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