自己保存の欲求 | トマス・ホッブズ

自己保存の欲求

自己保存の欲求とは、トマス・ホッブズが提唱した言葉で、人間にはもともとその本生に根ざす自然権として、利己的な欲望を満たし、自己の生命と幸福を維持する欲求を持っていることである。人間は自己保存の欲求を満たすため、お互いに敵意を持ち合い、万人の万人に対する闘争状態を引き起こす。この危機的な状態を避けるために君主に自然権を譲渡し、契約を結んでコモンウェルス(国家)を設立した。その時に自己の自然権を譲渡した人民は君主に従う必要がある。この理論のため、絶対王政を正当化すると批判的に扱われるが、自然状態を克服する政治権力の構築を自然権の保障という側面から理論化したことに大きな価値がある。当時、推進されていたピューリタン革命の中で独立派・水平派の主張を取りながら、生きる権利の保障を最大限に尊重できる国家の創出が望まれていた。

ホッブズの人間観

ホッブズは、自己の生命を維持する利己主義的であると認めた。各自が自己保存のために自由な行動を行うことを自然権として認めたところにホッブズの思想の特徴がある。自然状態の中では人間は、自己保存のために自分の体力や能力を自由に使用し、あらゆる手段を取るに違いないとした。そのため、怪物“リヴァイアサン”としての国家観が必要となった。