既発債
既発債(きはつさい)とは、既に市場で発行され、流通している債券のことを指す。これに対して、新たに発行される債券は「新発債」と呼ばれる。既発債は、発行直後に取引される場合もあれば、一定期間市場に流通した後に売買されることもある。既発債は、金利環境の変化や信用リスクの変動によって市場価格が変動するため、投資家にとっては重要な取引対象となる。
既発債の特徴
既発債の最大の特徴は、その市場価格が発行時の条件(クーポン利率や満期日)と市場の金利動向によって決まることである。たとえば、市場金利が上昇すると既発債の価格は下落し、逆に市場金利が低下すると既発債の価格は上昇する。このため、既発債の取引は金利リスクと密接に関連しており、投資家は市場環境に応じた戦略を立てる必要がある。
既発債と新発債の違い
既発債と新発債の主な違いは、発行のタイミングと価格形成の方法である。新発債は発行時にあらかじめ設定された価格(通常は額面価格)で取引が開始されるが、既発債は市場に出回る過程で市場価格が形成される。既発債の価格は、発行時の条件に対する市場の評価や、発行時と現在の金利差、発行体の信用状況の変化などによって変動する。
既発債の取引市場
既発債は、通常、債券市場において売買される。市場で流通する既発債は、国債や地方債、社債などさまざまな種類があり、それぞれの市場において取引される。特に流動性の高い国債などは、既発債として頻繁に取引される。既発債の取引は、機関投資家や個人投資家によって行われ、価格の変動に応じて売買が活発化することがある。
既発債の利点とリスク
既発債の利点は、市場価格が形成されているため、投資家が現在の市場環境に基づいて売買できることである。また、発行時点の金利が高かった場合、現在の市場金利よりも有利な条件で購入できる可能性もある。しかし、既発債には価格変動リスクが伴い、特に市場金利の変動により損失を被るリスクがある。また、発行体の信用リスクが悪化した場合、債券の価格が大幅に下落する可能性もある。
既発債の活用方法
既発債は、投資ポートフォリオの一部として多様な戦略に活用される。例えば、安定した収益を確保するために、信用リスクが低い既発債を購入することがある。また、金利変動を予測し、将来の金利上昇を見越して低金利の既発債を売却するなど、積極的な取引戦略も考えられる。既発債は、リスクとリターンのバランスを考慮しつつ、長期的な投資目標に応じて適切に活用することが重要である。