品質検査|品質を満たしているかどうかを確認する

品質検査

品質検査とは、製品やサービスが定められた品質基準を満たしているかどうかを確認する行為である。具体的には、製品やサービスの品質図面や仕様書通りに作られているかを判定する。製造業を中心に、あらゆる産業で重要な役割を果たしており、品質管理の一環として行われる。検査の目的は、欠陥品を市場に出さないことで顧客の信頼を保ち、顧客満足度、ブランドイメージや信頼性の向上につなげることである。最終検査に加えて、工程内で行う中間検査や購入品の受入検査がある。

JISの定義

品物またはサービスの1つ以上の特性値に対して、測定、試験検定、ゲージ合わせなどを行って、規定要求事項と比較して、適合しているかどうかを判定する活動

品質検査の目的

品質検査の主な目的は、製品やサービスが設計段階や規格で定められた要求を満たしているかを確認することである。製品の不良や誤りを未然に防ぎ、顧客に信頼される製品を提供することができる。また、品質検査はコスト削減にも寄与する。品質の問題が生産の初期段階で発見されれば、後から修正するためのコストや時間を節約できるためである。

品質検査の分類

品質検査には受入検査、中間検査、最終検査の三種類がある。

受入検査

受入検査とは原料・材料・部品等の品質を検査することである。前工程で行われる検査で、ここが不適切な原料や材料、部品が後工程に行くと大きな問題が発生する。

中間検査

中間検査とは、各工程で作りこまれる品質を検査することである。各工程の途中で行われる検査で、この時点で問題を見つければ、比較的対応しやすい。

最終検査

最終検査とは、最終製品の品質を検査することである。検査が不十分であれば顧客で問題が発見されるため慎重に対応しなければならない。保守サービスでの問題対応はより大きなコストを支払わなければならない。

実施方法による分類

検査には、製造した製品をすべて調べる全数検査と、一部だけを抜き取って調べる抜取検査があり、適切な判断を行う。

全数検査

すべての製品を調べる調査を全数検査という。一般に抜粋検査に比べてレベルの高い品質検査で、精密機器や医療機器などは全数検査に使われる。すべて手作業で検査をする場合は、仕事量が膨大になるため、見落としなどが発生することがあり注意が必要である。そのため自動検査機や自動測定器などの設備が重要となる。

抜取検査

抜取検査とは、一部だけを抜き取って調べる検査である。自動車の事故検査のように実際破壊して試験する破壊検査などがその例である。

品質検査の種類

品質検査にはいくつかの種類がある。代表的なものとしては、目視検査、機械検査、非破壊検査、破壊検査などが挙げられる。一般に目視検査や機械検査、非破壊検査は全数検査を行うことができが、破壊検査は破壊してしまうため、抜粋検査に限定される。

  • 目視検査:検査員が製品を直接見て不良を確認する
  • 機械検査:センサーやカメラなどの機器を用いて自動的に不良を検出する
  • 非破壊検査:製品を破壊せずに内部の欠陥を検出する方法であり、超音波やX線などを使用する
  • 破壊検査:製品を壊してその内部構造や強度を調べる
  • 寸法検査:測定器具を用いて製品の寸法が規格通りかを測定する。
  • 機能検査:製品の機能や性能が正常に動作するかを確認する。
  • 化学分析:材料や製品の化学的性質を分析する。

判定方法による分類

実施方法による分類として計数値検査、計量値検査である。

計数値検査

計数値検査とは、製品の特性を調べて、適合品と不適合品に分け、不適合となった製品の数または不適合の数で合否を判定する方法である。

計量値検査

計量値検査とは、長さや重さなどの特性を測定し、その測定値または測定値の平均値によって合否を判定する方法である。

品質検査の標準化と規格

品質検査を効果的に行うためには、検査方法や基準の標準化が重要である。国際的な規格としてISO(国際標準化機構)の品質マネジメントシステムであるISO 9001が広く採用されている。また、業界や製品ごとに特定の規格や基準が存在し、それに基づいて品質検査が行われる。

検査のタイミング

品質検査は、製品のライフサイクルのさまざまな段階で行われる。例えば、原材料の入荷時、製造プロセスの途中、最終製品の出荷前などが典型的な検査のタイミングである。これにより、問題が発生した場合には、早期に対処できる。また、出荷後に顧客からのフィードバックを受けて製品を改良するための検査も行われることがある。

品質検査の自動化

近年では、品質検査の自動化が進んでいる。AIやIoT技術を活用したスマート検査システムが導入され、従来の人手による検査に比べて効率的かつ精度の高い検査が可能になっている。例えば、画像認識技術を用いた自動検査装置は、不良品を迅速に検出し、ラインの停止を最小限に抑えることができる。また、リアルタイムでのデータ収集により、生産プロセス全体の品質管理が向上する。

品質検査の課題

品質検査にはいくつかの課題がある。まず、検査の精度と効率をどう両立させるかが問題である。特に人手による目視検査では、検査員の熟練度によって結果がばらつくことがある。また、自動化が進む一方で、機械では検出できない微細な不良や、感覚的な判断が求められる場面では人の手が必要になることも多い。さらに、コストの増加も課題となる。高度な自動検査システムを導入するには初期投資が必要であり、維持管理コストも発生する。

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