即時グロス決済
即時グロス決済(Real-Time Gross Settlement: RTGS)とは、金融取引において、個々の取引が即座に、かつ全額が一対一で決済されるシステムを指す。この方式では、取引が発生すると同時に決済が行われるため、未決済リスクが最小限に抑えられる。特に大口の金融取引において、システミックリスクを防ぐために重要な役割を果たしており、多くの中央銀行がこのシステムを採用している。
即時グロス決済の仕組み
即時グロス決済の仕組みでは、各取引が個別に処理され、他の取引と相殺されることなく、即時に決済される。これにより、取引ごとに清算の確実性が保証され、取引が成立した瞬間に資金の移動が完了する。このシステムは、金融機関が中央銀行に持つ口座を通じて行われるため、信頼性が高く、システミックリスクを低減する効果がある。
即時グロス決済のメリット
即時グロス決済の最大のメリットは、未決済リスクの低減である。取引が即座に清算されるため、取引相手が破綻した場合でも、未決済の取引が残らない。また、このシステムにより、決済の確実性が向上し、取引の透明性が高まるため、金融システム全体の安定性が強化される。さらに、大量の取引が集中する市場においても、決済の遅延が発生しにくく、効率的な資金管理が可能になる。
即時グロス決済のデメリットと課題
即時グロス決済のデメリットとしては、流動性の確保が必要となる点が挙げられる。すべての取引が即座に決済されるため、各金融機関は常に十分な資金を確保しておく必要があり、資金繰りが厳しくなる可能性がある。また、取引量が増加した場合、システム負荷が高まり、決済システムの安定運用が求められる。このため、中央銀行や金融機関には高度な管理能力と技術が必要とされる。
即時グロス決済の意義
即時グロス決済は、現代の金融システムにおいて非常に重要な役割を果たしている。特に、大規模な金融取引や国際的な取引において、取引の確実性と安全性を保証するために不可欠なシステムである。即時グロス決済の導入により、金融システム全体の信頼性と安定性が向上し、システミックリスクを回避するための効果的な手段となっている。