三角合併
三角合併(Triangular Merger)とは、企業が他の企業を合併する際に、第三の企業(子会社や関連会社)を介して行う合併方式である。この合併方式は、買収企業が自社株式を対価として合併を行う際に、買収対象企業が直接買収企業ではなく、買収企業の子会社と合併することで成立する。三角合併は、企業再編やM&A(Mergers and Acquisitions)において柔軟な選択肢として利用されることが多い。
三角合併の構造
三角合併は、通常、買収企業(A社)、買収対象企業(B社)、そして買収企業の子会社(C社)の三者が関与する。合併の際、B社は直接A社と合併せず、A社の子会社であるC社と合併する。その際、A社はC社を通じてB社の株主に対価を支払う。対価は、A社の株式が用いられることが一般的であり、これによりB社の株主はA社の株主となる。
三角合併のメリット
三角合併のメリットには、税務上の効率性や、買収企業が現金を使わずに自社株式を対価とすることで資金繰りを柔軟にできる点が挙げられる。また、合併手続きが簡素化される場合があり、直接的な買収よりも迅速に合併を進めることが可能である。さらに、子会社を介することで、買収後の経営統合が容易になる場合もある。
三角合併のデメリット
一方で、三角合併にはデメリットも存在する。特に、株式を対価とするため、買収企業の株価に影響を与える可能性がある。また、買収対象企業の株主にとっては、現金での対価を望む場合に不利となることがある。さらに、法的な規制や手続きが複雑である場合もあり、専門的な知識やアドバイスが必要となる。
三角合併の事例
三角合併は、グローバル企業間のM&Aでよく見られる手法である。例えば、大手企業が海外の企業を買収する際、自国の規制や税制の違いを考慮して、子会社を介した三角合併を選択することがある。また、日本国内でも、企業再編や持株会社の設立に伴い、三角合併が活用されるケースが増えている。