プロファイルベンダー
プロファイルベンダーは、アングル、チャンネル、H形鋼、パイプ、角管などの線材・形鋼(プロファイル)を、常温で連続曲げ加工する専用機である。複数のロールで材料を挟み、送りながら塑性曲げを重ねることで所定半径のリング、アーチ、スパイラルを高い再現性で形成する。板材の面曲げを主とするプレスブレーキに対し、断面剛性の高い形鋼・管材を最小限の肉やせと断面変形で曲げられる点に特徴がある。
原理と構造
基本構成は3ロール式または4ロール式である。駆動ロールが材料を送り、押圧ロールがダウンフォースを与えて曲げモーメントを作る。ロール間隔と押圧量を連続的に変化させることで曲率を制御し、同じ断面でも半径違いの連続曲げを実現する。側ロールはサーボまたは油圧シリンダで位置決めされ、繰返し精度と応答性が加工品質の要になる。
3ロールと4ロール
3ロール式は機構が簡潔でメンテナンス性に優れる。4ロール式は材料の把持が安定し、端部のプリベンドが容易で歩留りが高い。大断面や薄肉管での初期座屈防止にも有利である。
対象材と断面形状
- 等辺・不等辺アングル、チャンネル、H/Iビーム、フラットバー
- 丸管、角管、楕円管、ソリッドバー(丸棒・角棒)
- アルミ、炭素鋼、ステンレス、銅合金などの延性材料
断面によってロールの当て方が異なる。例えばアングルは「レッグイン」「レッグアウト」で曲げ性と座屈様相が変わる。パイプは楕円化(オーバル化)を抑えるため、ロール幅とR溝を最適化する。
曲げ半径と設計指標
最小曲げ半径は材料降伏応力σy、断面係数W、必要曲げモーメントMの関係M≈σy·Wを基に見積もる。目標曲率κ=1/Rに対し、弾塑性を考慮してRminを設定し、過大な押圧によるウェブ座屈やフランジ波打ちを避ける。薄肉管では板厚tに対しR/t比を大きく取り、マンドレル不要域を選ぶのが実用的である。
中立軸と繊維歪
曲げ時の中立軸は断面形状に依存して移動する。極端な非対称断面では繊維歪が局在し、フランジひずみの管理が重要になる。必要に応じて有限要素(FE)で事前評価する。
スプリングバックと補正
冷間曲げでは弾性回復が必ず生じ、設定半径より大きく戻る。経験式や材質別の回帰モデルから過曲げ量ΔRを見積り、試し曲げで微修正する。高強度鋼や析出硬化系Al合金はスプリングバックが大きく、繰返し押圧のプロファイルを滑らかにすることで面精度を高められる。
段取りとロール選定
- ロール形状:管はR溝、形鋼はウェブ逃げ・フランジ支持を持つ専用ロール
- 押圧経路:入口プリベンド→定常曲げ→出口プリベンド
- ガイド:側圧ガイドでトラッキングと面外ねじれを抑制
ロール材は焼入鋼や工具鋼が一般的で、軟質材や意匠面にはポリウレタン覆いを使う。表面傷の許容値に応じて硬度と当たり幅を調整する。
CNC制御とデータ化
最近は数値制御によって、ロール位置・押圧量・送り速度を同期制御する。半径指定、座標追従、テンプレート繰返しなどのモードを備え、DXFからの自動展開やオフラインティーチングに対応する機種もある。大量ロットでは統計的工程管理(SPC)と連携して自動補正ループを構築すると、初品から許容差内に収めやすい。
計測フィードバック
レーザ距離計やカメラで曲率をインライン計測し、偏差に応じて押圧を微調整する閉ループ制御が有効である。
品質管理と代表的欠陥
- 楕円化・扁平化:管の断面保持率を測定し、治具と押圧を最適化
- 波打ち・座屈:フランジに発生。押圧配分やガイドで抑制
- 端部不良:プリベンド不足。4ロールや補助治具で改善
- ねじれ:面外曲げ。ガイド調整と送り速度の均一化で対策
安全と保全
挟まれ・巻き込み危険が大きいため、非常停止、両手操作、光線式センサ、材料端部のテーピングなど安全策を講じる。ロールとベアリングの給脂、油圧系の漏れ点検、原点センサの校正は日常保全項目である。ロールの段差傷は製品欠陥に直結するため、取扱いと保管に注意する。
用途と産業分野
プロファイルベンダーは建築ファサードのアーチ、手摺・階段の曲げ、産業機械フレーム、車体補強材、造船の補強材、プラント配管の大径曲げなどで用いられる。治具を組み合わせればリング製作の一貫加工も可能で、溶接歪み低減や工数短縮に寄与する。
トラブルシューティング
狙い半径に入らない場合は、材料ロット差とスプリングバック補正を見直す。断面潰れはロール当たり幅と押圧点を変更し、必要なら当て金や充填材で支持する。ねじれはガイドローラ角度と左右押圧のバランス調整が有効である。加工履歴をCNCに残し、次段取りに知見を継承することが品質安定の近道である。
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