ドライエッチング|プラズマ加工で極微細なパターンを実現

ドライエッチング

ドライエッチングは、半導体製造工程において不要な部分の材料を取り除くためのエッチング技術の一つで、化学ガスやプラズマを用いて材料表面を選択的に削り出す方法である。従来の湿式エッチングは液体薬品による化学反応を利用し、比較的低コストで実行可能だが、微細パターン形成やアンダーカット抑制などの面で限界がある。一方、ドライエッチングは真空中でプラズマを発生させ、イオンやラジカルによる選択的かつ方向性の高いエッチングを実現する。これにより、極めて微細なライン幅や、垂直方向に精確なエッチング形状の実現が可能となり、先端的なLSIや3D構造デバイスの製造に不可欠な技術として認知されている。

基本原理

ドライエッチングは、エッチングガスを反応室内に導入し、放電などによってプラズマを生成し、半導体表面との反応によって材料を除去する。イオンや中性ラジカルは表面材料と反応しやすく、イオン衝撃による物理的スパッタリングと化学反応の両面から表面を削る。この組み合わせによって、優れたアニソトロピックエッチング(方向性エッチング)が可能となる。

エッチングガス

ドライエッチングで使用されるガスは、エッチング対象材料(Si、SiO2、SiN、メタルなど)に応じて選択される。例えばSi系にはSF6、CF4、C4F8といったフッ化系ガスが用いられ、酸化膜や窒化膜にはフッ素系および炭化水素系ガスが組み合わされる。ガス選択は加工精度、選択比、表面仕上がり特性を左右する重要なファクターである。

反応室とプロセス制御

ドライエッチング装置は、真空チャンバ内でプラズマ生成を行い、RFパワーや磁場、ガス流量、圧力、温度など多数のパラメータを精密に制御することで、エッチングレートや選択性、形状制御を行う。高品質なパターン形成には、これらのパラメータを最適化し、再現性を確保するための高度なプロセス開発が必要である。

エッチング形状の制御

ドライエッチングはアニソトロピック(異方性)な加工が可能であり、極めて垂直な側壁形状を実現できる。これにより、半導体デバイスの配線パターンやゲート堆積層、コンタクトホールなど微細寸法の形成が可能となり、高集積・高性能なLSIの実現に寄与する。また、微粒子や堆積膜によるマスクパターンの崩れを低減することも重要で、設備やプロセス条件の最適化が求められる。

課題とトレンド

微細化が進むほど、ドライエッチングは更なる均一性、選択性、表面清浄度が要求される。表面損傷を最小化するための低エネルギーイオンエッチング、高アスペクト比パターン加工対応、3D NANDやFinFETなど立体構造デバイスの対応など、技術的課題は多い。また、新素材の導入や複合積層構造に対しても適切なドライエッチング条件を見いだす必要がある。

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